著者
三上 理一郎 矢加部 茂 竹尾 貞徳 前川 宗一郎 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.559-569, 1990

内因性感染症endogenous infectionは, 生体内に存在する常在菌(フローラ)によつて起こる感染症として, Escherlich(1889)によつて始めて呼ばれた. 筆者はかつて, "顔面帯状痕疹と肺結核症の同時発症の1例"を経験し, その発症機序について考察をおこなつてきた. そしてここに内因性感染症の新しく拡大解釈した概念を考えるに至つた. 内因性感染症には, (1)もともと生体内に存在する常在菌によつて起こる感染症, の他に, (2)個体が, 以前の感染によつて生体内に侵入し, 潜在性となつた病原体によつて, 後に発症するもので, 既感染発病結核や帯状庖疹がそれに該当する.<br>内因性感染症の発症要因は, 宿主の中に存在する. したがつて, 内因性感染症の発症要因を探究するには, ホストオロジー(生ききま学)が必要である.
著者
宮原 栄治 池尻 公二 前川 宗一郎 吉田 康洋 矢加部 茂 朔 元則
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.1984-1988, 1992-07-01
被引用文献数
11

1979年1月から1989年12月までに経験した大腸低分化腺癌25例について臨床病理学的に検討した.低分化腺癌は大腸癌全体(600例)の4.2%であり,高分化腺癌と比較し右側結腸に発症する割合が多い傾向(p<0.05)があったが,右側および左側結腸癌症例において,生存率に有意の差を認めなかった.5年生存率は,低分化腺癌全体で18.6%で,高・中分化腺癌と比較し,有意に不良であった(p<O.O1).低分化腺癌では,大腸癌取扱い規約上,stage IV,V症例が17例と高度進行例が多く,このため予後不良であると考えた.しかし,stage II,IIIの比較的早期の症例で5年生存率を比較してみても,低分化腺癌では22.6%であり,高・中分化腺癌と比較し予後の違いは明白であった(p<0.01).つまり,大腸の低分化型腺癌では単に手術時すでに高度に進行している症例が多いということのみならず,その生物学的悪性度が予後に大きく関与していると考えられた.
著者
金田 鈴江 矢加部 茂 竹尾 貞徳 前川 宗一郎 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.329-333, 1986-04-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
22
被引用文献数
1

先天性疾患のほとんどが染色体と関係をもつて発生することが最近の研究から明らかにされつつあり, 重症心身障害児に関しても, これまで原因不明とされていたもののなかに遺伝的発生要因をもつものがあることが明らかにされてきている.当院では重症心身障害児病棟に入院中の患児について染色体学的研究を行つているが, 本稿では15番染色体の部分トリソミーをもつ12才男子の症例を報告する.患児は精神発達遅滞, 言語発達遅滞, 行動異常, 難聴, 耳介下方付着, 後頭部扁平などの臨床所見を示し, 染色体検査でY染色体の短腕の過長(Yp+)が見い出された. 父親の染色体分析により, 父親の均衡型挿入転座が遺伝したことによる15番染色体の長腕の部分トリソミー(46, XY, der(Y) ins(Y;15) (P11;q11q13) pat)であることが明らかにされた. これまでに報告された15番染色体部分トリソミーについての文献と比較し, 考察した.
著者
石垣 一彦 矢加部 茂 竹尾 貞徳 前川 宗一郎 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.325-328, 1986-04-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

精神障害者同士の結婚例12組について, 主として社会適応面から調査し報告した.1) 病名は夫婦とも精神分裂病である組合せが7組で, 12組のうち11組の両方あるいは片方の患者は分裂病者であつた.2) 結婚の様式は恋愛結婚6組, 見合結婚5組で, 見合結婚の経過が良好であった.3) 結婚の動機として, 男性では長子, 祭 主宰者としての役割を期待され, 女性では親の老令化, 同胞の世話になりたくないため結婚している者が多かつた.4) 社会適応状況は男性より女性の方が良好であつた.5) 結婚から現在までの経過は安定型, 不安定維持型, 挫折型の3つに分類出来た.