著者
三上 理一郎 矢加部 茂 竹尾 貞徳 前川 宗一郎 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.559-569, 1990

内因性感染症endogenous infectionは, 生体内に存在する常在菌(フローラ)によつて起こる感染症として, Escherlich(1889)によつて始めて呼ばれた. 筆者はかつて, "顔面帯状痕疹と肺結核症の同時発症の1例"を経験し, その発症機序について考察をおこなつてきた. そしてここに内因性感染症の新しく拡大解釈した概念を考えるに至つた. 内因性感染症には, (1)もともと生体内に存在する常在菌によつて起こる感染症, の他に, (2)個体が, 以前の感染によつて生体内に侵入し, 潜在性となつた病原体によつて, 後に発症するもので, 既感染発病結核や帯状庖疹がそれに該当する.<br>内因性感染症の発症要因は, 宿主の中に存在する. したがつて, 内因性感染症の発症要因を探究するには, ホストオロジー(生ききま学)が必要である.
著者
三上 理一郎 柳川 洋 河部 康男 宮城 隆 伊原 利和 秋山 一男
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.11-14, 2000-06-01 (Released:2012-08-27)
参考文献数
12

人間ドックを受診した男性2,675例のデータベース分析により,本態性低血圧の基準値を収縮期低血圧109mmHg以下と境界域低血圧110~119mmHgに分けた。低血圧群でオッズ比1以上は,検査所見;やせ,胃下垂,中性脂肪値55mg/dl以下,愁訴;疲れやすい・だるい,朝ファイトがでない,便秘,めまい・立ちくらみ,罹患疾患;広義の神経症,アレルギー性鼻炎,消化性潰瘍。以上,低血圧群の臨床的特徴と考える。
著者
阿児 博文 三上 理一郎 坂口 泰弘 堅田 均 沢木 政好 前川 純子 米田 三平 成田 亘啓
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.609-616, 1985-12-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
20

Alcoholics are known to have a high frequency of pulmonary tuberculosis. There have been no report concerning to the relationship between tuberculosis and alcoholism in Japan.147 male patients with active pulmonary tuberculosis were studied for alcohol consumption. Patients were classified into three groups: “habitual” drinkers, “heavy” drinkers, and “non-habitual” drinkers on the basis of the extent of alcohol consumption. Habitual drinkers were defined by those who drink 540 ml or more of sake daily over five years or an equivalent amount of alcohl in other beverages. Heavy drinkers were defined by those who drink 900ml or more of sake daily over ten years. The remainder were defined as non habitual drinkers.Of 147 patients, 16 patients were habitual drinkers, 19 were heavy drinkers, 112 were non habitual drinkers. No statistically significant differences were observed in chest Xray findings and response to therapy. Heavy drinkers were found to smoke much more than non habitual drinkers. In heavy drinkers there was high incidence of negative reaction of immunological skin tests than that on non habitual drinkers. The incidence of both diabetes mellitus and chronic liver disease in heavy drinkers was significantly higher than that in non habitual drinkers.Humoral and/ or cellular immunity were known to be depressed in diabetes mellitus and liver cirrhosis. Many investigators have tried to determine why tuberculosis is common among alcoholics. However, no predisposing factors were demonstrated conclusively. Our data suggest that complications such as diabetes mellitus and/or liver cirrhosis may play a role in the pathogenesis of pulmonary tuberculosis in alcoholics.
著者
溝口 勲 三上 理一郎 工藤 翔二 小久保 雅子 今関 鎮徳
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染研究 (ISSN:21863687)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.485-492, 1976

During the summer of 1975, effects of photochemical oxidants and other factors on health of schoolchildren and students were investigated in Saitama Prefecture, northern suburbs of Tokyo metropolitan area. The levels of each air pollutant and meteorological foctor were divided to 4, 5, 6 or 8 ranks and ratios of ones who had acute complaints to person days were compared with each other.<BR>Oxidant concentration most closely related to the ratio. The incidences stepwise increased from 0.02% to 0.3%, 3% in accordance with the elevation of oxidants levels (-0.07 ppm, 0.12-0.19 ppm, 0.20 ppm-). The levels of SO<SUB>2</SUB>, NO<SUB>2</SUB>, SPM and visibility related to the incidences to some extent. When SO<SUB>2</SUB>, NO<SUB>2</SUB> and SPM levels exceeded 0.07 ppm, 0.10 ppm and 0.2 mg/m<SUP>3</SUP> respectively and visibility lowered 3 km in this region, the incidences clearly increased. High temperature and discomfort index, however, were not always connected with high incidences. In addition, the weather of days when high incidences were found was slightly cloudy, and in rainy or clear days such results were not at all seen.
著者
今井 照彦 堅田 均 西浦 公章 錦織 ルミ子 浜田 信夫 濱田 薫 渡辺 裕之 成田 亘啓 三上 理一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.268-274, 1987
被引用文献数
4

症例は, 47歳男性。既往歴は42歳時肺結核, 糖尿病。61年1月10日ころより微熱, 咳, 労作時呼吸困難出現。2月5日洗面器約半分の喀血を2回繰り返し, 当院第二内科へ入院した。検査の結果, 右上葉の肺結核の遺存空洞に発生した肺アスペルギルス症と判明した。気管支鏡では右主気管支および上葉枝入口部は全体に発赤腫脹し, B^3入口部は拡大がみられ, 末梢は空洞様であった。壁は凹凸不整で全体に膜がはったようになり, 黒い部分や, 発赤, 新生血管と思われる赤い部分, 苔状物と思われる黄白色の部分が混在してみられた。アンホテリシンB空洞内注入療法により発赤部分, 黄白色の部分が次第に減少して, 治療終了後には凹凸不整がとれ平坦となり, 色調も赤みが消失して全体に一様に黒くなり, 一部線維化のごとく白くなっていた。この所見と平行して臨床症状も改善し, 胸部X線でも空洞壁が著明に薄くなり, これらの空洞壁の内視鏡所見は, アスペルギルス症の治癒過程を示していると思われる。
著者
秋山 一男 三上 理一郎 可部 順三郎 江頭 洋祐 岩田 猛邦 田口 善夫 赤木 克巳 竹山 博泰 羽間 収治 浜野 三吾 河田 兼光 信太 隆夫 三島 健 長谷川 真紀 前田 裕二 永井 一成 工藤 宏一郎 佐野 靖之 荒井 康男 柳川 洋 須藤 守夫 坂東 武志 平賀 洋明 上田 暢男 宮城 征四郎 中村 晋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.727-738, 1992
被引用文献数
15

我が国における成人気管支喘息の実態を, 主として患者へのアンケートを中心に調査し, 小児発症群と成人発症群及び成人再発群の3群に分類しその比較を試みた. 1) 成人喘息に占めるそれぞれの頻度は小児発症群11.1%, 成人発症群77.3%, その他11.6% (成人再発群3.7%及び不明) であった. 2) 成人喘息に占める小児発症群は年齢と共に激減し, 一方成人発症群は年齢と共に増加し50歳以後では90%以上を占めた. 3) 小児発症群では男, アトピー型, アレルギー疾患既往・合併症, 軽症例, 夜間外来受診歴, 発作時O_2吸入・人工呼吸歴の頻度が成人発症群に比べて有意に高く, 他方成人発症群では感染型, 薬剤常用者, ステロイド常用者, 重症, アスピリン過敏症の頻度が小児発症群に比べて高かった. 4) 成人再発群は小児発症群と成人発症群との中間に位置する群と考えられた. 5) 以上より発症年齢を基準とする分類法が現時点で臨床上分類が容易かつ曖昧さが少ない点より, 成人にみられる気管支喘息を小児発症喘息・成人発症喘息・成人再発喘息の3群に分類する新しい分類法を提唱した. この分類は今後成人喘息の病因・病態の解明に有用と考える.
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).