- 著者
-
三上 理一郎
矢加部 茂
竹尾 貞徳
前川 宗一郎
吉田 康洋
池尻 公二
- 出版者
- 一般社団法人 国立医療学会
- 雑誌
- 医療 (ISSN:00211699)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.6, pp.559-569, 1990
内因性感染症endogenous infectionは, 生体内に存在する常在菌(フローラ)によつて起こる感染症として, Escherlich(1889)によつて始めて呼ばれた. 筆者はかつて, "顔面帯状痕疹と肺結核症の同時発症の1例"を経験し, その発症機序について考察をおこなつてきた. そしてここに内因性感染症の新しく拡大解釈した概念を考えるに至つた. 内因性感染症には, (1)もともと生体内に存在する常在菌によつて起こる感染症, の他に, (2)個体が, 以前の感染によつて生体内に侵入し, 潜在性となつた病原体によつて, 後に発症するもので, 既感染発病結核や帯状庖疹がそれに該当する.<br>内因性感染症の発症要因は, 宿主の中に存在する. したがつて, 内因性感染症の発症要因を探究するには, ホストオロジー(生ききま学)が必要である.