- 著者
-
小澤 一仁
前川 寛和
石渡 明
- 出版者
- 一般社団法人 日本地質学会
- 雑誌
- 地質学雑誌 (ISSN:00167630)
- 巻号頁・発行日
- vol.119, no.Supplement, pp.S134-S153, 2013-08-15 (Released:2014-03-21)
- 参考文献数
- 79
- 被引用文献数
-
3
6
南部北上山地は,シルル紀の酸性火山岩類を含む地層が分布し,シルル紀前期の花崗岩も確認されており,大陸性の地殻がシルル紀-デボン紀に存在していたと考えられる古い地塊である.この地塊の北縁と西縁には,オルドビス紀の島弧オフィオライト(早池峰(はやちね)・宮守(みやもり)オフィオライト)とオルドビス紀~デボン紀の間に形成された高圧変成岩類(母体(もたい)変成岩類)が分布し,これらは,オルドビス紀以降のおよそ数千万年で成熟した島弧地殻へと進化していった沈み込み帯の発達過程を記録している.本見学旅行では,早池峰・宮守オフィオライトのマントルセクションとほぼ同時~1億年後の沈み込み帯である母体変成岩を対象として,これまでの地質学・岩石学・地球化学的研究に基づいてオルドビス紀の島弧を復元し,当時の島弧マントルの進化過程について議論したい.