著者
松尾 圭三 中山 樹一郎 七隈ロラタジン研究会
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.616-623, 2009-12-01
被引用文献数
1 1

小児の皮膚そう痒性疾患患児(15歳以下)91例に対し, 第二世代抗ヒスタミン薬であるロラタジンドライシロップ1%による臨床効果および薬剤の使用感等の検討を行った。主要評価項目であるそう痒・皮疹の程度は, ロラタジン投与開始1週後から有意な改善がみられ, 投与2週後もその改善効果は維持された。また, VASによるそう痒のスコアも同様の臨床効果を示した。全般改善度(改善以上)は91.3%であった。また, 安全性の面においては, 1例に鼻出血が認められたのみであり, 良好な忍容性を示した。さらに, 薬剤投与後の使用感等に関する調査では, 回答が得られた患児の90%以上が嫌がらずに飲み, 飲み忘れが全くなかったかほとんどなかった割合は94%であった。服用後, 数時間以内に効果が現れたと回答した割合は81%であり, 72%の患児または保護者が, 今後もこの薬剤を希望すると回答し, 希望しないと回答したのは5%であった。これらの結果により, 本剤は小児の皮膚そう痒性疾患に対する治療において, 極めて有用な薬剤であることが示唆された。
著者
渡辺 洋一 松尾 圭祐 玉置 明彦 平木 俊吉 森山 重治 堀内 武志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.510-515, 2001-09-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
18
被引用文献数
28

我々は固形シリコンを用いた気管支充填術Bronchial Embolization using Silicone(以下BEUS)を考案し, 従来の充填材を用いた充填術に比べ, その確実性において優れていることを報告してきた。シリコン性充填材として開発したEndobronchial Watanabe Spigot(以下EWS)を手術困難な難治性気胸, 気管支瘻等に使用し良好な治療成績を得ることができたので報告する。対象症例は難治性気胸24例, 有瘻性膿胸7例、肺瘻4例、気管支瘻1例, 気管支胆管瘻1例の合計37例(35施設)であった。バルーンカテーテルを用いた試験等で30/37(81.1%)において責任気管支の同定が可能であり, EWSを用いた気管支充填術により12/32(37.5%)の症例においてエアーリークの消失が, 14/32(43.7%)の症例においてエアーリークの明らかな減少が認められた。これらの効果により肺の拡張を得ることができた19/31(61.3%)の症例において胸腔ドレナージチューブを抜去することができた。本療法に伴う合併症としては肺炎, 呼吸困難, 無気肺を各々2/32(6.3%)の症例に認めた。EWSを用いた気管支充填術は, 従来の気管支充填術に比してより確実で長時間の充填効果を得ることができ, 難治性気胸, 有瘻性膿胸, 肺瘻, 気管支瘻等の疾患に対する有用性が示唆された。