著者
加原 奈穂子
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成17年度の主な研究目的は、(1)岡山桃太郎伝説の舞台「吉備路」の文化財保存と観光活用に関する文化政策および各関係主体(行政・文化産業・地域住民・観光客)の認識・活動・相互関係等のより詳細な実情の把握、(2)「吉備路」イメージの形成と桃太郎伝説の活用に関する資料収集・分析、(3)口承伝承の観光活用に関する他の事例との比較・分析、であった。平成17年度の研究実績は、以下の通りである。1.研究調査1)聞き取り調査:岡山県・岡山市等の文化財保護と観光推進の各行政担当機関(文化財保護と観光化に関する方針・具体的活動)、観光関連の民間団体(観光産業の状況)、「吉備路」観光客と地域住民(桃太郎伝説への認識、観光行動やその影響など)への聞き取り調査を行った。2)文献調査:桃太郎伝説の浸透と「吉備路」のイメージ形成に強い影響力を持った地元新聞、観光案内等について、昭和30年代以降のものを中心に、文献資料の収集・分析を行った。現地調査は、岡山県岡山市で、平成17年8月〔10日間〕、12月〔10日間〕、平成18年2〜3月〔10日間〕に行った。2.調査整理・成果発表上記の聞き取り調査・文献調査で得たデータは、関連の事例との比較を踏まえたうえで、(1)桃太郎伝説形成の歴史、(2)マスメディアの影響、(3)観光行政の変化、(4)桃太郎伝説の活用事例、(5)民俗文化の選択的活用、などの項目に整理、分析済みである。調査結果の一部は、「研究発表」欄の共著、雑誌論文の他に、岡山民俗学会平成17年度総会(「文化資源の活用と文化政策」)、日本民俗学会第56回年会(「多様性の中の地域性」)、第20回日本観光研究学会全国大会(「"地域らしさ"を売る」)で発表を行った。また、岡山市デジタルミュージアム開館記念「おかやまと桃太郎展」に関して、展示協力、展示解説映像作品への出演解説、フォーラムでの講演(「時代を超える桃太郎」)、を行った。