著者
加地 浩 森田 恵美子 池田 正人 日野 義之 筒井 隆夫 紙谷 尚子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.549-554, 2001-07-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
12
被引用文献数
1

胃切除者におけるOGTTではしばしば急峻高血糖型の血糖曲線oxyhyperglycemiaを示すことが知られている. 職域の定期健康診断でスクリーニングされ, 75g-OGTTを受けた2257名の中に胃切除術を受けた者が60名見出された, 今回, これら症例の糖尿病関連諸検査指標と日本糖尿病学会新診断基準 (1999年) との関係で, 診断上の特殊性につき再検討した.平均血糖値は前値 (FPG) 96.9, 1時間値 (PG-1) 179.1, 2時間値 (PG-2) 86.6mg/dlであったが, 血糖値から糖尿病型と判定された者は6名, 境界型6名, 正常型47名であった.血糖以外の指標ではHbA1cは平均6.896と高値を示したが, FRA, 1, 5-AGの平均値は各々256μmol/l, 16, 2μg/mlと基準範囲内にあった.またこれらの指標はFPG, PG-2のみならずPG-1との間にも有意の相関を示した. OGTTを用いるこれらの症例の最終診断は困難な場合があり, 関連する各検査値に力口え, 常に糖尿病家族歴, 胃手術歴を問診しておく必要がある.
著者
藤野 昭宏 Tar Ching Aw 大久保利晃 加地 浩
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-44, 1998-03-01 (Released:2017-04-11)

英国における産業医学教育の現状を日本と比較しながら紹介した後, 英国と日本における卒後産業医学教育システムについて比較検討を行った. 産業医学専門医制度(英国王立内科医協会産業医学部門専門医制度と日本産業衛生学会専門医制度)における, 全研修期間, 臨床研修期間, 産業医学研修期間, 専門医試験方法および合格率に関して比較したところ, 前者の方がより多くの産業医の専門的訓練が要求される研修システムであり, また産業医学的臨床実施能力の訓練を重視していることが示唆された. また, 英国の産業医デイプロマ制度とこれに相当する日本の医師会認定産業医制度との比較では, 前者の資格取得のためには, 講習会の受講・基礎的実習のみならず, 試験に合格することが義務付けられていた. 日本の認定産業医制度においても, 試験制度の導入は今後の検討すべき課題あると考えられる.