著者
藤野 昭宏
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.273-291, 2015-12-01 (Released:2015-12-13)
参考文献数
42

医学概論とは如何なる学問なのかについて,1.医学概論への誤解,2.歴史的変遷,3.目指す医師像,4.教育の現在,5.根源的思想,そして6.医のプロフェッショナリズムとの関連,の6つの観点から考察した.医学概論とは,医学とは何かをつねに根源的に問い直す,医学の本質を見極める学問のことであり,生命倫理学,臨床倫理学および医療人類学の3本の柱とその土台である人間学から成り立つ.人間学としての医学概論を学ぶ意義は,霊性的自覚によって病いの語りへ共感し,医学を通して根源的いのちを実感する癒し癒される人間関係を体験的かつ思索的に理解し,自己自身の人間性と霊性を深めることにある.そして,その根源的思想にあるのが「矛盾的相即」の考え方である.この矛盾的相即の思想を,生涯にわたって医学を通して体験的に理解すること,これが医学概論の究極の使命である.
著者
藤野 昭宏 Tar Ching Aw 大久保利晃 加地 浩
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-44, 1998-03-01 (Released:2017-04-11)

英国における産業医学教育の現状を日本と比較しながら紹介した後, 英国と日本における卒後産業医学教育システムについて比較検討を行った. 産業医学専門医制度(英国王立内科医協会産業医学部門専門医制度と日本産業衛生学会専門医制度)における, 全研修期間, 臨床研修期間, 産業医学研修期間, 専門医試験方法および合格率に関して比較したところ, 前者の方がより多くの産業医の専門的訓練が要求される研修システムであり, また産業医学的臨床実施能力の訓練を重視していることが示唆された. また, 英国の産業医デイプロマ制度とこれに相当する日本の医師会認定産業医制度との比較では, 前者の資格取得のためには, 講習会の受講・基礎的実習のみならず, 試験に合格することが義務付けられていた. 日本の認定産業医制度においても, 試験制度の導入は今後の検討すべき課題あると考えられる.
著者
藤野 昭宏
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Special_Issue, pp.27-34, 2013-10-01 (Released:2013-10-10)
参考文献数
15

産業医と倫理について,1)産業医の法的地位と職務遂行上の倫理,2)産業医学研究の倫理,3)21世紀に求められる産業医の倫理観と根源的思想,の3つの観点から考察した.1)では,産業医の契約類型と独立性・中立性,健康情報とプライバシー保護,及び産業医の権限行使とその担保措置,2)では,国内外の研究倫理基準,倫理審査委員会の意義と役割,及び産業医学研究に特徴的なこと,3)では,産業医と政治倫理,産業医に必要な実務能力と倫理観,及びアートとしての産業医の実践と思想,の各々について論述した.これらの考察から,産業医制度という国家政策に基づく特別な社会的な立場である産業医として,国民である労働者と事業者の双方に対して責任をもって使命を果たすという倫理観が職務上のコアになければならないことが示唆された.さらに,産業医の究極的な使命は,「人間学として産業医学を実践すること」であるとの提言を行った.