著者
加藤 恵津子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.202-220, 2006-09-30 (Released:2017-08-28)

本稿では、ポストコロニアル研究隆盛のさなかで「日本人によるネイティヴ人類学」は何をするべきか、またその仕事にはどのような困難が伴うかを論じる。「日本人によるネイティヴ人類学」とは、日本人の人類学徒による自文化研究すべてを指すものではない。それは「ネイティヴ」という語の前提にある欧米中心的ヘゲモニーを、意識し批判することを必然的に含む。「日本人によるネイティヴ人類学」の主要な仕事は、自文化について日本語と欧米言語の両方で書くこと、そして欧米人類学による日本/人の表象に批判を加えることである。だがこれらの作業には、二つの異なる言語・読者の間で、記述内容や書き手の立場が不安定にならざるを得ないという困難や、巨大なヘゲモニーの中で自分の声を聞かせることの困難がつきまとう。これらについて、筆者の日英語での出版経験や、英語圏の研究者に向けた「異議申し立て」の学会発表の経験をもとに考察する。
著者
加藤 恵津子 久木元 真吾
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究代表者(加藤)による5回の海外フィールドワーク(オーストラリア4回、カナダ1回)、および研究分担者(久木元)による2回のインターネット統計調査を遂行することにより、1)現在、海外にいる若い日本人一時滞在者たちの仕事観・人生観・海外観の質的調査、および2)現在、日本にいる海外経験あり・なし両方の日本人の若者の仕事観・人生観・海外観の量的調査を遂行した。さらに3)研究代表者は、研究分担者のアドバイスに基づき、若者と海外渡航、若者と仕事に関連する主要雑誌のメディア分析を行った。 研究代表者と分担者は、各自の調査を随時報告しあい、活発に意見交換し、現在では共著の執筆を企画準備中である。