著者
加藤 栄一 佐藤 吉信 堀籠 教夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.247-255, 1999-02-25
参考文献数
11
被引用文献数
38

機能安全の国際規格であるIEC61508が作成されつつある. そのドラフトの基本的な方法論の一つは安全関連系(SRS)に対して目標機能失敗尺度, すなわち安全度水準(SIL)を設定することである. SILは, 電気/電子/プログラマブル電子(E/E/PE)技術を用いたSRSに割り当てるべき安全要求事項を規定するため, 四つの確率的水準から構成されている. 目標のSILを選定するために, この規格案はE/E/PE SRSを二つ作動モード「低頻度作動要求」及び「高頻度作動要求/連続」モードに区分している. これらの作動モードは作動要求頻度のみから定義されている. しかし, 作動要求状態の継続時間及び疑似作動要求を考慮するとE/E/PE SRSにどちらの作動モードを適用すべきか明確になっていない. 本論文は上述した論点について、規格案で行われている仮定とアルゴリズムの妥当性を検証し, 作動要求の継続時間及び疑似作動要求の考え方を含むSIL作動モード選定のためのフォールトツリーモデルと, そのモデルを定量化して, 平均危険事象頻度を推定するアリゴリズムを導入し, 新しい作動モードを提案する.