著者
津田 曜 小栗 卓也 櫻井 圭太 梶口 智弘 加藤 秀紀 湯浅 浩之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.504-508, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
24
被引用文献数
4

71歳男性.異常言動と全身性痙攣にて入院.高次脳機能障害を認めたが初回頭部MRIは異常がなかった.血中LDH・可溶性IL-2受容体高値より悪性リンパ腫を疑ったが,初回骨髄穿刺と皮膚生検では腫瘍細胞を認めなかった.10日後の頭部MRI磁化率強調画像(susceptibility-weighted image; SWI)で大脳皮質・皮質直下に異常低信号域が出現,ステロイドパルス療法を行うも無効であった.後に胸部単純CTで両肺にスリガラス影が出現,経気管支肺生検と骨髄穿刺再検にて血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B cell lymphoma; IVLBCL)と診断した.本疾患では脳梗塞様変化を呈することが多いが,本例ではむしろ大脳のSWI低信号域が主たる所見であり,中枢神経病変による出血性変化と推測された.
著者
打田 佑人 小池 春樹 小栗 卓也 加藤 秀紀 湯浅 浩之 三竹 重久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.339-344, 2015 (Released:2015-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

53歳男性.頭痛と発熱が10日間遷延後,尿閉が出現し,髄液異常をみとめたため,髄膜炎・尿閉症候群と診断.入院後,血清IgM抗サイトメガロウィルス抗体陽性が判明し,ガンシクロビル点滴治療を施行したところ,髄膜炎症状は軽快した.一方で,尿閉は改善せず,高度で多彩な自律神経症状が重畳した.自律神経機能検査では節前線維の障害を示唆する所見を呈し,末梢神経伝導検査ではF波の出現率の低下をみとめた.免疫療法を試みたところ,とくにステロイド治療が奏効した.抗ガングリオシド抗体の中でIgM抗GM1抗体およびIgM抗GM2抗体が陽性であり,Guillain-Barré症候群との異同を考える上で貴重な症例と考えられた.