著者
沖 祐美子 小池 春樹 祖父江 元
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.1591-1597, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

薬物による末梢神経障害は,薬剤の用量規制因子となり,原疾患の治療に影響を与えるという点で重大な副作用である.早期発見による投与薬剤の減量,中止が唯一の対症療法となる場合がほとんどで,なんらかの神経症状が残る場合も多い.日常診療においては,末梢神経障害を引き起こす薬剤について幅広く理解し,症状の出現を早期に発見し迅速に処置を行うことが最も重要であると考えられる.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001695, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論Iでは,遺伝子研究,トランスレーショナルリサーチ,核酸医薬,iPS研究,介護・福祉など,多様性を増す脳神経内科領域の臨床と研究について,最新トピックスを交えて取り上げる.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001696, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論IIでは,疾患ごとに脳神経内科領域を分類し,各分野の専門家がわかりやすく解説するとともに,最近のトピックスについて冒頭に取り上げた.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.709-721, 2021 (Released:2021-11-24)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.本稿で,総論部分1)脳神経疾患とは,2)脳神経疾患克服研究の現状,3)脳神経疾患克服研究の意義・必要性,4)神経疾患克服に向けた研究推進体制,5)脳・神経・筋疾患克服へのロードマップ,6)提言の要約版を報告する.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
小池 春樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.8, pp.1530-1537, 2019-08-10 (Released:2020-08-10)
参考文献数
10

糖尿病,尿毒症,栄養欠乏,アルコール依存症ならびに薬物の副作用等による末梢神経障害(ニューロパチー)は,日常診療で遭遇する機会が多いにもかかわらず,見逃されることが多い疾患である.これらのニューロパチーでは,適切な対処によって進行の停止・改善を期待できることから,不可逆的な変化が生じる前に的確な診断を行うことが重要であり,それぞれの原因で起こり得る症候・検査所見等を常に念頭に置いて診療にあたる必要がある.
著者
飯島 正博 祖父江 元 川頭 祐一 小池 春樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

末梢神経系の維持には軸索ー髄鞘間の相互作用が重要な役割を担うことが指摘されている。我々はCIDPにおいて、傍ランビエ絞輪部に分布するTAG-1のアミノ酸置換が分子機能を修飾し、再髄鞘化機序にかかわることを過去に指摘した。今回、TAG-1を欠損した動物モデルに髄鞘構成成分より構成される抗原を人為的に導入して自己免疫性神経炎を惹起したところ、脱髄のみならず軸索障害が形態的・電気生理学的に顕在化することを示した。このことからTAG-1をはじめとする分子群は末梢神経の発生はもとより、傷害発生後の髄鞘再生にかかわる重要な要素であり、この破綻は不可逆性の病態をきたしうることが示唆された。
著者
打田 佑人 小池 春樹 小栗 卓也 加藤 秀紀 湯浅 浩之 三竹 重久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.339-344, 2015 (Released:2015-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

53歳男性.頭痛と発熱が10日間遷延後,尿閉が出現し,髄液異常をみとめたため,髄膜炎・尿閉症候群と診断.入院後,血清IgM抗サイトメガロウィルス抗体陽性が判明し,ガンシクロビル点滴治療を施行したところ,髄膜炎症状は軽快した.一方で,尿閉は改善せず,高度で多彩な自律神経症状が重畳した.自律神経機能検査では節前線維の障害を示唆する所見を呈し,末梢神経伝導検査ではF波の出現率の低下をみとめた.免疫療法を試みたところ,とくにステロイド治療が奏効した.抗ガングリオシド抗体の中でIgM抗GM1抗体およびIgM抗GM2抗体が陽性であり,Guillain-Barré症候群との異同を考える上で貴重な症例と考えられた.
著者
小池 春樹
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.237-242, 2018 (Released:2018-12-25)
参考文献数
22

Peripheral neuropathy is caused by a variety of diseases. Early diagnosis and initiation of treatment is important because irreversible damage may occur. Although careful assessment of the mode of progression, symptoms and signs, blood and cerebrospinal fluid examinations, and electrophysiological studies may lead to diagnosis, nerve biopsy is also useful to determine the underlying diseases in some of the patients with neuropathy. Representative neuropathies are Guillain–Barré syndrome (GBS) and chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy (CIDP). The degradation of the myelin sheath by macrophages has been reported in demyelinating form of GBS (i.e., acute inflammatory demyelinating polyneuropathy) and CIDP, and been considered to play an important role in the pathogenesis of these diseases. By contrast, recent studies suggested the association of autoantibodies directed against paranodal junctional proteins, such as anti–neurofascin 155 and anti–contactin 1 antibodies, to subpopulations of CIDP patients. Classical macrophage–induced demyelination is not observed in patients with these antibodies, whereas paranodal axo–glial dissection resulted from attachment of IgG4 antibodies to paranodal junctions plays a pivotal role in the mechanisms of neuropathy. Therefore, there are, at least, two distinct mechanisms that lead to nerve conduction abnormalities from pathological viewpoint. Physicians should take the variability of clinical and pathological findings of neuropathy.
著者
大山 健 小池 春樹 高橋 美江 川頭 祐一 飯島 正博 祖父江 元
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1047-1049, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3 5

近年,IgGのサブクラスのひとつであるIgG4の上昇をともなう疾患群がIgG4関連疾患(IgG4-RD)として報告され,注目されている.IgG4-RDは,臓器の腫脹・腫大,組織での線維化をともなうIgG4陽性形質細胞浸潤,血清IgG4値の上昇を共通の特徴とし,種々の臓器で報告されてきた.神経領域では下垂体炎や肥厚性硬膜炎が知られていたが,新たにIgG4-RDがニューロパチーでもみられることを明らかにした.IgG4関連ニューロパチーは,下肢遠位優位の運動感覚障害を呈する多発性単神経炎の様式で発症していた.腓腹神経生検では,神経上膜のIgG4陽性形質細胞浸潤および線維化をみとめ,有髄線維密度の低下,軸索変性像の出現がみられた.IgG4-RDもニューロパチーの鑑別疾患の一つとなる可能性が示唆された.
著者
小池 春樹
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.113-120, 2018-02-01

近年,ジカ熱の世界的な流行に伴いジカウイルスとギラン・バレー症候群(GBS)との関連が注目されるようになった。日本においてはジカ熱の流行は確認されていないものの,海外渡航からの帰国後に発症した患者が報告されている。ジカ熱に関連したGBSは脱髄型の病型を呈する場合が多く,治療は一般的なGBSに準じて行われている。発症の誘因となる自己抗体が明らかになっておらず,病態に関しては今後の研究課題である。