著者
勝木 桂子 相原 直彦 伊達 裕 武村 珠子 住田 善之 和田 光代 鎌倉 史郎 下村 克朗
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.291-300, 1997-05-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

心室内伝導障害例での持続型心室頻拍 (SVT) の発生予知に時間解析法による加算平均心電図 (SAEOG) が有用であるかを検討した.SAECGを施行した心室内伝導障害例70例を, 12誘導心電図から右脚ブロック型を示す36例 (RBBB群) と左脚ブロック型を示す34例 (LBBB群) に分類し, SVTの既往の有無 [SVT (+) 群, SVT (-) 群] でSAEOG各指標を検討した.RBBB群ではTQRSD, LAS40, RMS40の3指標とも, LBBB群ではRMS40のみでSVT (+) 群とSVT (-) 群との間に有意差が認められた.SVT (+) 群を分離するための診断基準は, RBBB群ではTQRSD≧160mseo, LAS40≧40mseo, RMS40≦14μVとなり, 川頁に感度77%, 85%, 77%, 特異性78%, 70%, 74%で, LBBB群ではRMS40≦14μVとなり, 感度82%, 特異性87%で良好な診断精度であった.以上より, SAEOG各指標はLPの診断基準を新たに設定することにより, 心室内伝導障害例においてもSVTの予知が可能であると結論される.
著者
橋本 修治 相原 直彦 伊達 裕 勝木 桂子 武村 珠子 鎌倉 史郎 下村 克朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Supplement6, pp.41-46, 1997-12-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

【目的】心房細動(Af)例では心房電位が偽陽性の原因になるとされ,体表面加算平均心電図(SAECG)による心室遅延電位(LP)による評価の対象から除外されてきた.しかし,出現時相が不規則であることから加算平均処理により心房電位が相殺され,洞調律(SN)時と同様にLPを評価できる可能性がある.そこで,Af時においてもSAECGがSN時と同様に評価可能か否かについて検討した.【対象と方法】Af時およびSN時に対してSAECGを記録し得た症例17例.各記録をtime domain(TD)法とfrequency domain (FD)法を用いて解析し,比較検討した.【結果】Af時およびSN時記録での各指標の相関はTD法では全指標ともr=0.90以上(p< 0.001)と良好であったが,FD法はarea ratio法でr=0.83(p<0.001),spectro-temporal mapping法でr=0.60(p<0.05)とTD法に比べ劣っていた.【総括】Af時におけるSAECGの有用性をSN時と比較検討した結果,TD法はAf時にもLPを評価することが可能であるが,FD法の各解析法ではLPの評価は困難と考えられた.