著者
勝田 光 澤田 英輔
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.58-66, 2018-09-30 (Released:2018-10-26)
参考文献数
19

本稿では、国語科におけるリーディング・ワークショップの実践を分析し、その意義を検討した。米国の英語教師ナンシー・アトウェルに影響を受けた高校教師は、自分の教室の実情に即して独自のリーディング・ワークショップを開発した。彼のワークショップは、三つのフェイズで構成される。(1)ブック・トークとミニ・レッスン、(2)個人読書とカンファランス、(3)共有の時間、以上三つである。ブック・トークとミニ・レッスンでは、教師が様々なジャンルから本を紹介し、読みのスキルも指導する。個人読書とカンファランスでは、生徒が自分の読みたい本を読み、教師は個別にカンファランスを行って何を読んでいるか、楽しんで読めているか等を確認する。さらに、生徒が読む本を選ぶ手助けをすることもある。共有の時間では、生徒は自分の読書経験を他の二人の生徒と共有する。本稿では、このリーディング・ワークショップが楽しい読書経験と一人で本を読む時間を保障することで伝統的な国語の授業を補完することを示唆した。