著者
北原 龍二
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.59-74, 2008-03-31

すでにこの連載稿(この紀要に連続して掲載中の「医学校教室論究」1〜をまとめてこう呼ぶ)の1.4.08.(桜花学園大学研究紀要 第5号 43頁 2003)において,関連病院問題についての概要は述べた。今回の連載稿「6」では,改めて,詳細・具体的にこの問題を考察する。ここでは,まず相当数の事例を挙げて,関連病院と医学校・教室との関係のすこぶる多様・複雑な諸相を,さまざまに提示する。なお,関連病院を語るには最低限二つの視点が必要である。1は医学校・教室から関連病院を見る視点(教室にとっての関連病院)であり,2は,関連病院から医学校・教室を見る視点(関連病院にとっての教室)である。この連載稿全体の趣旨から,主として1の視点に立つべきであるが,2の視点からの論述を含まないわけではない。また利用する文献資料において,2の視点からの論述と,1の視点からの論述とが明瞭に区分出来ない場合がある。論者が関連病院に属していても,その論述の基点は絶えず医学校・教室に置いている例は稀ではないからである。なおまた,記述の簡略化のため,関連病院に「」は付さない。筆者は,いわば・いわゆる世間の通念に従えば,などの意味を示すために,いい換えれば関連病院なる語は,厳密な定義に馴染まず,そのままでは学術用語とはなりがたいことを考慮し,本来は「」に括るべきと考えてはいるのであるが。関連病院とほとんど同義で系列病院・出張病院・派遣病院,出先機関,特に古くはジッツ(このカナ書きも一様ではないが)と呼ぶ例もあるが,引用文中における場合を除き,ここでは関連病院に用語を統一する。
著者
北原 龍二
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.240-242, 1976-04-25

はじめに:今月から6回ぐらいの連載で,家族社会学について述べることとなった。あらかじめおことわりしておくが,私はここで教科書や概説書ふうに,家族社会学の全体を要約的に取り上げるつもりはない。そういうことを離れて,私なりに,社会学の視座から家族をみるときの,いくつかの焦点を考えてみようとしている。 よく言われるように,家族は誰もが,あまりに身近にかかえているため,かえって知りすぎ,親しみすぎにおちいり,客観的にみることができにくいものである。また個別体験にかたよりすぎる危険も大きいものである。この連載コラムを通じて,何かしらの新しい眼をもって,家族を見直す機会を読者に提供できれば幸いである。