著者
野口 肇
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.48, 1966-04-01

1月29日づけの各紙朝刊は,軒なみに,天皇の第三皇女和子さんの夫君である鷹司平通氏が,自宅にすぐちかいマンションの一室で死んでいたとかきたてました.それぞれ「事故死」とか「変死」とのべているが,おなじ部屋で銀座のバー「いさり火」の前田さんというホステスが死んでおり,ガスストーブの栓があけはなしてあったとのことです.警察当局のしらべではどちらもお酒をそうとうのんでいて,死因は一酸化炭素の中毒,他殺のあとはないそうです.つまりひらたくいえば,よくあることだが,妻のある中年男がバーのホステスと合意の心中をしたのです.ふつうなら新聞はほんの数行だけ隅に報道するはずですが,なにしろ当事者が皇族のひとりというので大さわぎでした. いうまでもなく鷹司氏は元明治神宮宮司の長男,平安時代からつづいている五摂家の当主という純良な血統で,機関車の研究ではいくつも著書をもっている権威者,交通博物館につとめるまじめなサラリーマンです.同館長の意見ではたいへんまじめで,こうした心中事件などおもいもよらなかったと語っています.記憶をよびさませば,昭和25年5月,「民間人」として内親王を夫人にむかえたさいしょの人,当時やんやと祝福されたものです.趣味は古典音楽と切手の収集,バーあそびや女性関係などかりそめにもウワサにのぼらない模範的な紳士でした.
著者
大日向 雅美
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.749-753, 2001-09-25

はじめに 「子どもが小さいうち,とりわけ3歳までは母親が育児に専念すべきだ」という考え方は,子育ての真髄をあらわしているとして人々の間で長く信奉されてきた。その子育て観が近年,大きく揺らいでいる。1998年版『厚生白書』によって合理的根拠のない神話と断定されて話題となったのは記憶に新しい。しかし,依然として「3歳までは母親の手で育てるのが最適」という子育て観が根強く残っていて,出産や育児に専念するために仕事を辞める女性が少なくない。また,いじめや非行の凶悪化等,最近の子どもの成長の過程をみると正常とはいえない歪みを示す現象が目立つことから,乳幼児期の母子関係の重要性を再評価すべきだという論調も一部で強まっている。この立場に立つ主張は,幼少期に母親が育児に専念する重要性は古来普遍の真理であり,何よりも尊重すべきであって,それを神話とみなすような態度が昨今の子育てを歪めている元凶だという。 しかし,このように乳幼児期の育児を専ら母親一人で担うように主張する考え方は,歴史的にみれば大正期の資本主義の勃興期にルーツがあるのである。都市型の労働力を確保するための社会的・経済的要請に基づく性別役割分業体制を支えるイデオロギーであったにすぎない。そもそも子育ては現在の社会のあり方を反映するものであり,同時に未来の社会のあり方に対する要望に敏感に反応するものである。今,なぜ三歳児神話が問い直されるのか,時代が要請しているものは何かを明確にした議論が必要であろう。
著者
島田 信宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.440, 1997-05-25

アドルフ・ポルトマン(Adolf Portmann)というスイス人の生物学者がいました。先生は多くの生物の妊娠・分娩に関する研究からヒトを含めて,生物における各種族の位置づけなどを考案されて,現代の生物学とドイツの哲学とを結びつけた学者といわれています。牛や馬の赤ちゃんは生まれてくると,すぐに立ち上がり歩くことができます。これに比べてヒトの赤ちゃん(新生児)は,歩けるようになるには1年近くもかかります。また,鳥の赤ちゃんは卵の殻を破って出てきますが,生まれてすぐにお母さんから固形の食べものを口うつしでもらって,それを食べて,しかも消化吸収することができます。ヒトの赤ちゃん(新生児)は生まれてすぐに固形物を食べて消化する能力はありません。 こうしてヒトの赤ちゃん(胎児,新生児)と他の動物の赤ちゃんを比較してみると,ヒトの赤ちゃんは生まれて来たときには大変に未熟だといえるのではないでしょうか。ヒトは生物の中でもっとも進化した種族です。したがって頭部(脳)の占める体積が大きく,ヒトの赤ちゃんは頭でっかちです。本質的にヒトの胎児は未熟なので,できるだけ子宮の中で発育させておこうということから頭部は脳の発育のために産道を通過できるギリギリの大きさまで発育して大きくなってから生まれてきます。これに対して,母体の産道,つまり骨盤の大きさはどうでしょう。猿や類人猿の時代の4つ足の生活はもうなくなり,立位の生活を送るようになると,体位のために母体の骨盤は圧迫を受け,4つ足時代より狭く変形されてきました。その内腔が狭くなった産道に大きくなってしまった脳を入れた胎児の頭部が通るのはとても大変で,ギリギリだというのです。ですから,ヒトの分娩は他の動物からみると赤ちゃんは未熟で早産のように受けとめられるのですが,実は発達した脳(頭部)と骨盤の変形によって生物のなかではもっとも難産になっていると考えられます。だからヒトの分娩はその途中で低酸素症(胎児仮死)にもなりやすいし,分娩停止や遷延分娩にもなりやすいといえます。この事実を私たち,産科周産期医療従事者はどう考えたらよいのでしょうか。ヒトのお産というのは,ただ放っておけば生まれてくるとか,元気に「オギャー」と泣いて生まれてくるのが100%当たり前とかいった安易なものではないということを再認識しなければなりません。私たちは全生物のなかでもっとも難しいお産を取り扱い,管理する専門職なのです。このことを自覚することはもとより,世間一般の方々に,「お産て難しいことがいっぱいあるんですよ」と教育しなければならないでしょう。なぜなら,産科周産期医療は大いに発展,進歩しました。しかし,それは胎児情報や診断学,治療に関することで,人類が始まって以来,胎児は産道を通って出てくるという分娩現象については全然変わっていないのです。帝王切開術が上昇しているということも少しはうなずけます。時代とともに,文明の進歩とともに,ヒトのお産は「生理的早産」でありながら難産傾向になることは予測できます。たとえば,硬膜外麻酔を応用した分娩などは分娩を楽に終わらせる一方法として脚光を浴びています。ヒトのお産は正期産といえど「生理的早産」であることを忘れないで,今日からまた取り組んで下さい。
著者
南野 知恵子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.979, 1999-11-25

私は参議院議員として,助産婦として,女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを確立するため努力をしてきましたが,低用量ピル認可に向けた働きかけもその一環として研究会・政策勉強会などを通じて最大限やってまいりました。この度「低用量ピル」という選択肢を日本の女性が手にすることができたことは大きな前進をとげたといえます。 女性が自らのリプロダクティブ・ヘルス/ライツを承認するということは,自らの女性性を認知したうえで自立することですが,真の始まりはこれからだと思います。受胎調節実地指導員の役割を引き受ける助産婦には責任も生じてきます。ピルをより求めやすくする,より適切な保健指導や相談を受けやすくする環境整備,医療界で働く人々の専門性の効果的発揮により受益者のニーズに応えられるなど,解決しなければならない課題は山積しています。人間が互いに人対人として認め合い,他性を理解し尊重する相互間の受容が,どのように熟してゆくかにかかっていることであるとも思います。私自身看護婦・助産婦・受胎調節実地指導員でもあり,同性の悩みに触れてきた経験から多くを学びました。かつてわが国の女性は,一人の人間として自立していくための選択肢に乏しく,そのことに気づかない女性,気づかせてもらえない多くの女性がいました。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの課題達成は看護職者であり政策作成の場にいる私にとって燃える課題でした(今もそうですが)。ピルの認可に40年もの長期を要したことは,日本がやはり「男性社会」であると感じざるをえませんでした。そこで,改善をめざして多くの議員の協力をとりつけることを考えました。まず,自民党内の勉強会に,松本清一・熊本悦朗先生をお招きし「性感染症とエイズの問題」について講演していただきました。「ピル・エイズ・性感染症」をテーマにしたのは,初めてでした。
著者
長田 久文 蔡 培梁 太田 ふさ 殿村 た喜子 伊瀬知 幸代 中居 澄子 小野 文子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.98-101, 1979-02-25

1.はじめに 母乳栄養の確立が論じられてから,各方面より数多くの報告がみられ,全国的に普及した感がある。横浜市愛児センターにおいても,従来よりこの問題にとりくみ,授乳方法の検討からはじまり,乳汁分泌を促進および抑制する因子について検討を行なってきた。 第17回日本母性衛生学会において,「乳汁分泌に対する各種薬剤の影響」をはじめとし,社会的因子,環境的因子,行政的因子等について報告した。
著者
品川 信良
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.419-421, 1982-05-25

日本では前々から,「生理休暇」の「是非」や「存続」をめぐっての論議が,世論や労働界や医学界などをにぎわしてきたが,最近イギリスでは,「月経前症候群」(Premellstrual syndrome,以下PMS)または「月経前緊張症」(Premenstrualtension)に関しての社会的関心が急に高まっている。 そもそも事の起こりは,殺人容疑の婦人が,彼女の犯行はPMSのためであるとの理由で「傷害致死」に減刑されるという判例が,最近あいついで2件もあったからである1)。
著者
進 純郎 荒木 勤
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.754-758, 1990-09-25

はじめに 繰り返す陣痛の苦しみに打ち克って,元気なわが子の姿を目の当たりにした母親は,それまでの苦しみなど嘘であったかのように穏やかな笑顔に変わる。 一方,分娩時に受けた会陰切開縫合部痛は分娩の苦しみが薄れるとともに増強し,母乳を与える時期になってもその痛みは消えず,分娩後の最も忘れられない疼痛の一つとして,母親の記憶の中にいつまでも生き続けるものである。
著者
長谷川 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.36-37, 1959-08-01

明治・大正・昭和の3代に大きな足跡を残した永井荷風の死は,その孤独の死にざまの故に世間を驚かせた.いや世間は驚かなかつたかもしれないが,注目はした.身内がひとりもいない死の床の戸外には,50人余のジヤーナリストがつめかけていた.これは荷風死後のある瞬間における,荷風家をめぐる現実の姿であつた.人つ子ひとりも通らないような山奥で,身もともわからない他殺死体が見つかつて,まずジヤーナリストがかけつけたといつた環境とは全く違うのである. 老残の荷風は,みとる人もなく,ひとりで死の床に横たわつていた.発見されたのは,通勤の老婆が翌朝出勤してからのことである.荷風は長く独身で,身辺に人を近づけなかつた.女には近づいたが,共に住まなかつた.女ばかりではない,荷風の嫌人癖は徹底していた.それが荷風の方針であつたから,死の床にだれひとりいなくても荷風はもつてひとり瞑することができたであろう,恐らくは,その生涯をかえりみて,死期の後悔もなかつたであろう.その方針を貫いただけである.死に伴う必然の肉体的苦痛はあつたかもしれないが,精神のいたみは全々無かつたであろう.荷風はそのように生き,そのような最後をも自ら読んでいたことであろう.
著者
長谷川 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.30-31, 1957-12-01

昔は医師が特権階級であつた.社会的名声においても,また経済的な点からいつてもそうであつた.その頃は,医は仁術ですらあつた.だが,現在では医は算術といわれるくらい,せちがらい世の中に生きることを医師も余儀なくされている.目下保険診療の単価の値上,点数の改正をめぐつて,厚生省,日本医師会,被保険者の三つ巴の論議がかわされている.厚生省案と医師会案とが真向から対立して,その帰趨は軽々に結論を下せない実情にある.かつて自由診療であつた頃の医師はまさしく特権階級であつた.だが,保険診療になつて医師の特権的な位置はゆらいでいる. 現在の医業の実情はどうなつているのであろうか.そして医師の考えていることはどのような方向であるのか?——保険問題がやかましい折からそのような基本的な課題に答える便利な調査がある.それは東大社会学尾高邦雄教授と,統計数理研究所鈴木達三博士によつてまとめられた「医師 意見 調査 報告」である.以下このデータによつて注目すべき諸点を見てゆくことにしよう.(この調査の対象となつたのは昭和30年12月31日現在の東京都内在住の男子医師で,ランダム・サンプリングの方法によつて抽出された600名である.)
著者
下川 浩
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.435, 1993-06-25

「言語明瞭,意味不明瞭」とは,よく政治家の発言を評して用いられる言葉です。しかし,私たちの周りを見渡すと,往々にして同様の発言があることに気がつきます。これは,ある特定の集団の中では意味明瞭かおおよそのニュアンスの一致をみている特定の言葉が,その集団以外の人々に向かって発せられた時におこる現象のようです。 医療の世界は,今でもかなり閉鎖された世界です。その医療の中に今,新しい風が吹いています。それは患者の知る権利,発言する権利を確立しようという風です。これは医療を受ける側からすればあたりまえのことです。この要求に医療の現場は積極的に対応していく必要があります。その方法の1つは,インフォームド・コンセントに対する理解と実践です。
著者
杉村 広郞
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.51-53, 1952-06-01

私達が時々村へ入つて行くと,よく次のような話を耳にする。—— 「この附近の主婦さん方の一番の惱みの種は,子供の数が多いということなんです。貧乏者の子沢山とはよく言つたもので,こう経済的に苦しくなつて来ると,子供はもうコリゴリだと悲鳴を挙げている奧さん方が多いんです。……炭燒きという重労働を強いられた上に,細々としたその日暮しで子供が7人も8人もでは,第一自分の身体がもちませんし又経済が益々苦しくなるだけですからね。……しかし,そうゆう苦しさに迫られ乍ら,子供を生まぬようにするにはどうしたらよいかといこうとも知らず,次々に生んで行くんですから全く慘めなものですよ。……」
著者
杉 靖三郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.42-43, 1955-06-01

このごろ,"ハウザー食"とか"ミキサー食事"とかいうことがいわれ,アメリカ渡来の栄養法がはやつている. これは,映画の都ハリウツドの女優さんたちの栄養師をしていたゲイロード・ハウザー博士が「若く見え,長生きするには」という見出しの本を書いて,彼独特の食物と食事法とを紹介して,世界じゆうの大評判となり,それが日本へはいつてきたのである.
著者
椎野 泰明 白浜 正人 大宇根 浩一 大田 近雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.597-603, 1998-07-25

はじめに われわれが切迫早産の理学療法に取りかかったのは16週間臥床したのち,帝切後9日目の褥婦に出会ったことに始まる。この患者は歩きはじめたところ,「膝の関節痛,足に力が入らない」と訴えて,産婦人科医から紹介された。たまたまこの産婦人科医が整形外科でなく,われわれのリハビリテーション科に紹介してきてくれたことが,新しいチーム医療を生んだ。すなわち,産婦人科医,助産婦に,リハビリテーション科医と理学療法士が加わった。リハビリテーション医学の視点からみると,この患者はまさに廃用症候群であった。筋力低下を生じていたが,助産婦は一生懸命励まし,とにかく歩かせようとしていた。このことがいわゆるover load(過負荷)を引き起こした。 では,なぜ筋力低下が問題なのかというと,女性のライフコースを考えた時,周産期に生じた筋力低下は膝関節の支持性を弱める。この状態のまま高齢化し,もし肥満になるようなことがあると,変形性膝関節症を発症することにもなりかねないからである。近年,インフォームドコンセントが認識されるようになった。胎児のためには安静が必要で,その結果長期臥床による廃用症候群を起こす。このことを精神的に不安をもつ妊婦に,訓練のリスクを含めていかに説明するか,難しい問題である。
著者
田中 美知子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.438-440, 1996-06-25

分娩後の乳汁分泌は徐々に増加し,産後7〜8日目では500ml/日前後の乳汁分泌がある(図1)。しかし,この時期以後,母乳分泌が過剰となり,母乳育児に困難をきたす場合がある。その原因として考えられることには,高エネルギー食,催乳剤の乱用,大量の輸液,過激な乳房マッサージによる乳房への刺激,等がある。特にⅡb型・Ⅲ型(橋口精範氏による分類より)等の乳房では,これらの影響を特に受けやすい。 その他,特殊例ではあるが,筆者が指導援助をした高プロラクチン血症の褥婦さんで乳汁分泌過多の人がいた。
著者
根本 悦子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.870-871, 1996-11-25

日本は子どもポルノ天国 ベルギーの連続少女誘拐殺害事件などに国際的な関心が高まるなかで,8月末にスウェーデンのストックホルムで「児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」(スウェーデン政府,国連児童基金=ユニセフ=など主催)が開かれた。 会議には120か国約1200人が参加。日本からは政府代表団(代表・清水澄子参院議員)と日弁連関係者,非政府組織(NGO)のメンバーら計18人が出席している。

1 0 0 0 結婚

著者
宮里 和子 鎌田 久子 坂倉 啓夫 末光 裕子 菅沼 ひろ子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.634-637, 1985-07-25

§続・初体験 前号において問題にした破瓜の習俗は,今日のモラルからみれば,許されることではないと決めつけがちであるが,一種の性教育とみなされていたことを見落としてはならない。 島根県東部の漁村での話に,12,3歳の娘が,まだ娘にならん前に,50歳以上のごけじいさんにオセ(大人)にしてもらうことがあったという。西石見地方でも娘が13歳になると,親が部落内の男衆に頼んで大人にしてもらうのをスケワリと呼んでいたという。福井県でもこのような習俗をアナバチといい,特定の者が,12,3歳の女子を一人前にして,若者(青年男子)の仲間に告げる風があった。破瓜したことを公表するわけで,前記の島根県でも,若連中(青年男子)にオセになったことをふれてもらったというが,これで名実共に一人前になったことで,婚姻可能な成女であることを公表し,結婚でぎることを願ったのである。
著者
島田 信宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.68, 1972-03-01

子宮内膜は月経周期とともに,増殖期,排卵期,分泌期と変化していくのを,皆さんはよくご存知でしょう。このような内膜で被われている子宮腔は,乾燥したものではなく,しめった液体で一面がぬれたようになっているのは子宮の内視鏡,ヒステロスコープなどで分っていたのですが,一体どんな液体があって,それが何の役にたっているのか,全く研究されていなかったのです。ところが最近,不妊女性の検査が一段と進歩してきたために,いろいろな観点からみて,子宮内膜にある液体も妊娠と何か関係あるのではないかと考えられるようになり,その検査も行なう必要があるといわれはじめました。 つまり,子宮腔の中にある液体は,子宮内膜からの分泌物や子宮頸管からの分泌物,あるいは卵管,腹腔内の液体も入って来て,みんなが入り交ったものとなっています。このような分泌物の混合体が子宮腔内の貯りゅう液で,これを「uterinemilk」子宮の乳汁(ミルク)というのです。如何にも妊娠との結びつきを想像させるような名前をつけたものですね。
著者
根本 悦子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.604-605, 1993-08-25

産まなければならないという世間体 4月30日に鳥取市の産婦人科医院で生後3日の赤ちゃんが誘拐された事件は,不妊に悩む夫婦が犯人だった。6月5日に無事保護されたときには,赤ちゃんは誘拐時の1.5倍の体重で,ツメもきちんと切られ大事に育てられた跡があったという。 容疑者夫婦の妻は今年の春ごろからマタニティ服姿の大きなおなかで外出し,会う人ごとに「大阪で出産する」と話し,妊娠を装っていたようだ。
著者
阿川 辰子 大沼 弥栄子 金井 芙美子 尾形 亜紀子 古藤 慶子 阪詰 百合子 園田 洋子 近藤 マサ子 富永 昭子 広瀬 弥栄子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.33-40, 1966-09-01

まえがき 新生児の生下時体重は,どの母親にとっても大きな関心事の一つとなっているが,これが児の運命を左右するばかりでなく,保育の面からも重要な意味を持っており,さらに,社会的な問題にまで発展しているからである.新生児の生下時体重がどのような因子により左右されるものであるかということは,私たち助産婦の道を志す者にとって大変興味深い問題であるので,実習期間を通して妊産婦の婚前と妊娠中の生活態度を中心に調査することにした.
著者
坂本 佳鶴恵
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.28-32, 1995-01-25

現代日本の晩婚化 最近,20歳代後半から30歳代の男女の未婚者が目につく。実際,1990年の国勢調査をみると,20歳代後半の女性の約10人に4人,男性の約3人に2人が未婚である。15年前の調査では,女性の未婚者が10人に2人,男性は2人に1人にもならなかったから、これはかなりの晩婚化である。 統計をさかのぼってみると,男性,女性の平均初婚年齢は,データのある1910(明治43)年以来,1930年までは男性約27歳,女性約23歳で落ちついている。しかし,その後日中戦争・太平洋戦争期間をはさんだ前後の統計で乱高下をみせる。1930年から1955年くらいまでは,戦争前ないしは戦中に晩婚化し,その後戦後の動乱期に早婚化した。戦中の1940年には平均初婚年齢は,男性29.0歳,女性24.6歳にまで上がったのち,戦後の1947年では急速に低下し,男性26.1歳,女性22.9歳にまで下がっている。