著者
鈴間 潔 赤木 忠道 村上 智昭 宇治 彰人 北岡 隆 藤川 亜月茶 築城 英子 松本 牧子 木下 博文 前川 有紀 劉 美智 高見 由美子 浜崎 幸子 高橋 政代
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

2011年に故笹井芳樹先生らのグループよりマウスES細胞から網膜を組織として3次元的に再生できることが報告された(Eiraku M, Nature 2011:472:51)。我々は再生された網膜の周辺部に形態学的に毛様体組織と類似した構造があることを発見し、故笹井先生らのグループと共同で毛様体組織を効率的に再生する方法を開発することに成功した。本研究は再生毛様体を眼内に移植することにより眼球癆の治療法開発、同時に房水にサイトカインや細胞生存因子を分泌させるという新しいドラッグデリバリーの方法を応用した眼疾患の治療法開発を目指す。今後は動物モデルへの移植研究を行う予定である。
著者
三島 一晃 小川 月彦 北岡 隆 藤川 亜月茶 今村 直樹 三島 一晃
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

(1)光刺激による網膜色素上皮の変性ラット網膜に光刺激を与えることで感覚網膜や網膜色素上皮が変性するか検討した。Wister Kyotoラットに強度の緑色光を24時間照射し、電子顕微鏡にて網膜を観察した。網膜の他の層に著変は無かったが、視細胞外節の蓄積と網膜色素上皮細胞の変形を認めた。光毒性による酸化ストレスや視細胞外節の蓄積で生じる酸化ストレスの影響で網膜色素上皮が変性し、加齢黄斑変性が誘導されると推測した。次に酸化ストレスが循環ホルモンであるレプチンによって誘導されることを検討したかったが、生体では困難であり、培養細胞で研究した。(2)レプチンによる酸化ストレス培養網膜色素上皮細胞と血管内皮細胞にレプチンが酸化ストレスを与えるか検討した。具体的には、網膜色素上皮細胞ARPE-19および血管内皮細胞EA hy926に活性酸素マーカーであるH_2DCFDAを導入した。その後様々な濃度のレプチンに曝露し、活性酸素を測定した。その結果、EA hy926においてレプチン1000ng/mlの曝露で活性酸素が有意に増加した。ARPE-19では活性酸素の増加はみられなかった。今回の研究では高濃度のレプチンが網膜色素上皮細胞ではなく、血管内皮細胞において酸化ストレスを生じることが示された。(3)色素上皮由来因子(PEDF)によるレプチン酸化ストレスの抑制レプチンの酸化ストレスを抑えるため、PEDFが有効か検討した。レプチンの溶液にPEDFを加え血管内皮細胞EA hy926の活性酸素を測定した。100nMのPEDFを加えると活性酸素の増加はみられなかった。PEDFは血管内皮細胞においてレプチンによる酸化ストレスを減少させる事がわかった。以上の研究により、色素上皮由来因子はレプチンによる酸化ストレスを減少し加齢黄斑変性を抑制する可能性がある事が示唆された。