- 著者
-
北川 良子
- 出版者
- 一般社団法人 日本助産学会
- 雑誌
- 日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.2, pp.345-357, 2010 (Released:2011-04-07)
- 参考文献数
- 31
- 被引用文献数
-
4
目 的 本研究の目的は,病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために必要な要因について明らかにすることである。対象と方法 産科・産婦人科を標榜している336の病院に勤務する,妊娠中もしくは0歳から小学校卒業までの子どもを養育している助産師1,469名を対象に,郵送法による無記名自記式質問紙を用いた量的横断的記述研究である。調査内容は,属性,対象者の健康状態,家族・家庭環境,子ども・保育環境,職場環境,仕事意欲等である。分析方法は各調査項目と『今までの就業継続状況(就業継続群と一時離職群)』『今後の就業継続予定(継続希望群と退職考慮群)』との関連を検討した。結 果 調査票の回収数は986部(回収率は67.1%)であり,有効回答数は951(有効回答率96.5%)であった。対象者の平均年齢は36.8±5.2歳,子どもの平均人数は1.96人で2人が一番多かった。仕事意欲測定尺度得点の平均値は58.7±8.6であった。『今までの就業継続状況』と実父母・義父母の理解・協力の間に有意差が多く見られた。『今後の就業継続予定』では家族の協力・理解との間に有意差はほとんど認められず,職場環境要因の職場の働きやすさ・仕事と育児の両立しやすさ,上司の理解,モデルとなる助産師の存在において有意差が認められた。結 論 病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために重要な要因は,助産師本人の高い仕事意欲と家族の理解・協力を前提に,育児と仕事の両立しやすい職場環境と上司の理解が就業継続を決定付ける上で重要な要因であることが示唆された。