著者
櫻井 彩乃 菅原 ますみ 後藤 景子 渡辺 基子 岡村 仁 北村 裕梨 中井 克也 飯島 耕太郎 岡崎 みさと 魚森 俊喬 崔 賢美 村上 郁 櫻井 晃洋 齊藤 光江 新井 正美
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.74-83, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
20

BRCA1/2遺伝子検査が保険収載後に,本検査受検を考慮した乳癌患者の実態調査を行った.順天堂大学医学部附属順天堂医院乳腺センターにて,保険適用でのBRCA1/2遺伝子検査を提案された外来通院中の乳癌患者31名(受検者29名,非受検者2名)を対象に,検査時と結果開示後に調査を実施した.BRCA1/2遺伝子検査の保険収載は受検を明らかに促進していた.同胞や子どもを心配し受検をした対象者がもっとも多く,受検者の90%以上が血縁者への情報伝達を予定していた.血縁者への情報提供やキャリア診断の遺伝カウンセリング体制も整備する必要性が示された.また病的バリアントが検出されなかった約半数の対象者でネガティブな情緒の変化である「総合的気分状態」の上昇がみられた.乳癌診療や遺伝カウンセリングにおいては,病的バリアント非保持者でも心理支援を考慮すべき対象者がいることが示された.
著者
荒川 玲子 日野 香織 北村 裕梨 斎藤 加代子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.192-196, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
6

ゲノム医療の発展に伴い, ゲノム情報が診断のみならず, 臨床的重症度の把握, 治療に直結するようになってきた. 特に, 治療にあたり遺伝子変異の同定が必要となる脊髄性筋萎縮症などの疾患では, 遺伝学的検査による早期診断が求められる. 一方で遺伝学的検査を行う際には, ゲノム情報がもたらすメリットと共に, 血縁者へ及ぼす影響などの側面も考慮しなければならない. 小児期の遺伝性神経筋疾患で代表的な脊髄性筋萎縮症, Duchenne型筋ジストロフィー, 福山型先天性筋ジストロフィーにおける遺伝学的検査の進め方およびゲノム情報と臨床症状の関連について, 本学での25年間にわたるゲノム診療をもとに報告する.