著者
児玉 ひとみ 竹宮 孝子 斎藤 加代子 大澤 真木子 岡本 高宏
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.2989-2994, 2011 (Released:2012-07-24)
参考文献数
14
被引用文献数
1

近年,外科を選択する女性医師が増えつつある.女性外科医が妊娠・出産を望む時期と専門医取得を目指す時期はほぼ重なっている.育児と両立しながら臨床経験を積む為には,多くの問題を解決しなければならない.東京女子医科大学は日本で唯一の女子のみで構成された医科大学であり,女性医師を支援するシステムが多く存在する.今後全国的にこれら支援システムがたちあがり,ワークライフバランスの概念が浸透してゆけば,女性外科医は出産後も母親であると当時に一外科医として社会に貢献し続けることができる.
著者
荒川 玲子 日野 香織 北村 裕梨 斎藤 加代子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.192-196, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
6

ゲノム医療の発展に伴い, ゲノム情報が診断のみならず, 臨床的重症度の把握, 治療に直結するようになってきた. 特に, 治療にあたり遺伝子変異の同定が必要となる脊髄性筋萎縮症などの疾患では, 遺伝学的検査による早期診断が求められる. 一方で遺伝学的検査を行う際には, ゲノム情報がもたらすメリットと共に, 血縁者へ及ぼす影響などの側面も考慮しなければならない. 小児期の遺伝性神経筋疾患で代表的な脊髄性筋萎縮症, Duchenne型筋ジストロフィー, 福山型先天性筋ジストロフィーにおける遺伝学的検査の進め方およびゲノム情報と臨床症状の関連について, 本学での25年間にわたるゲノム診療をもとに報告する.
著者
田中 真 大住 省三 清藤 佐知子 高橋 三奈 青儀 健二郎 澤田 茂樹 山下 素弘 田村 和朗 秋澤 叔香 斎藤 加代子 Sugimoto Nao 金子 景香
出版者
日本家族性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.22-25, 2017 (Released:2017-10-16)
参考文献数
14

Li-Fraumeni syndrome(LFS)is a rare autosomal dominant disorder characterized by a high penetrance of cancers of early-onset and diverse types such as soft tissue sarcoma, osteosarcoma, pre-menopausal breast cancer, brain tumors, adrenocortical carcinoma (ACC), and leukemias. We experienced a 52 year-old female who had suffered from bilateral breast cancers, one of which was treated with radiation therapy. She was diagnosed with LFS by genetic testing. PET/CT was performed for surveillance and early lung cancer was found in the upper lobe of the right lung. We performed a right upper lobectomy (Adenocarcinoma pT1aN0M0, stageIA). We reported a case of early lung cancer detected by surveillance PET/CT for LFS and reviewed the related literature.
著者
児玉 ひとみ 竹宮 孝子 竹内 千仙 加藤 郁子 村越 薫 大久保 由美子 斎藤 加代子 大澤 真木子 岡本 高宏 小原 孝男
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.65-68, 2010-03-25
被引用文献数
1

多くの医師(特に女性医師)にとって仕事と育児の両立は難しい。そのため、乳幼児を対象とした保育所の整備や保育支援が進められてきた。しかし、小学校低学年の学童児を対象とした保育(学童保育)については選択肢が極めて少なく、女性医師の離職や職場変更につながることも少なくなかった。そこで、女子医大では、平成19年3月に同学50歳以下の医師1069人と医学部学生500人を対象に学童保育設置の必要性に関するアンケート調査を行った。調査には、医師315人、学生56人が回答し(回収率各29.5%、11.2%)、「学内に学童保育施設があれば、すぐに利用したい」31人(全て医師)、「今後利用するかもしれない」135人(医師111人、学生24人)、「利用はしないがあった方がよいと思う」205人(医師173人、学生32人)であった。学童保育の利用を検討した医師は、早朝、夜間、土・日曜日を含む長時間保育を希望していることがわかった。この結果は、医師に対する学童保育支援の必要性を強く示した。学生に対しては、育児と仕事の両立、学童保育の必要性など将来的な問題提起の機会になった。
著者
大澤 真木子 近藤 恵里 鈴木 暢子 平山 義人 原田 淳子 鈴木 典子 斎藤 加代子 福山 幸夫 石原 傳幸
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.95-109, 1996-03-25

先天性筋ジストロフィー(CMD)という語は,生下時または生後数ヵ月以内に筋力低下を示し,筋生検ではジストロフィー変化を示す乳児に対し広く用いられてきた.本邦では知能障害を伴う福山型CMDが知られ症例も多い.欧米例は,一般に知能障害は伴わず,筋症状だけを示すと考えられてきた.Nogenが知能は正常であるがCT上白質の瀰漫性の低吸収域を呈するCMD例を報告し,続いて同様の症例が報告され,知能障害は伴わないが中枢神経系に異常のあるCMDの存在が注目を浴びるようになった.1994年にこれらと臨床像が一致する例でメロシンの欠損が認められ,遺伝子座は6q2に存在することが判明した.我々は,生下時より著明な筋力低下を呈し,知能正常,瀰漫性白質低吸収域を呈するCMD例を経験し1981年CMDII型として報告した.さらに,知能正常,生後まもなく筋力低下を示し,筋生検ではジストロフィー変化を呈する同様な例を3例経験した.いずれも生後3ヵ月以前に発症し,定頚が7ヵ月以降と遅れていた.しかしながら,1例を除き坐位保持は1歳未満で獲得しており,いざり這いも可能となった.仮性肥大を認めず,顔筋罹患は軽度に止まり,年長時には顔が細長く見える.1例は, 22歳まで経過観察したが,4歳時および19歳時の頭部CTではいずれも瀰漫性白質低吸収域を認め,両所見に差は認めなかった.最高運動機能はいざり這いで,2歳6ヵ月より11歳まで可能であった.同様の本邦報告例は散見されるが,16年間という長期経過を観察可能であった例は他になく,本邦および欧米例の文献展望を加え,本症の位置付け,分類上の今後の問題点などを検討報告した.