著者
北澤 純 髙橋 健太郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.96-101, 2018 (Released:2018-12-07)
参考文献数
14

精神疾患合併妊娠における新生児予後を後方視的に検討した.対象は平成22年1月から27年5月の期間における滋賀医科大学産婦人科のてんかんを除く精神疾患合併母体より出生した新生児90例である.NICU入院,新生児離脱症候群(NWS)発症の有無,乳児院への入所の有無と関連する因子を調べるため,母体年齢,薬剤の種類,併用薬剤数,罹病期間,薬剤の自己中断の有無に関してMann-WhitneyのU検定およびFisherの正確確率検定を行った.多重ロジスティック解析では,独立変数を年齢,併用薬剤数,罹病期間,薬剤の自己中断の有無とした.精神疾患の内訳はうつ病27例,パニック障害20例,統合失調症19例,双極性障害9例,不安神経症5例,摂食障害5例,強迫性障害3例,適応障害1例,身体表現性障害1例だった.児が新生児期にNICUへ入院した症例は21例(23.3%)だった.NICU入院と関連する因子は三環系・四環系抗うつ薬の使用(P=0.0094),抗不安薬の使用(P=0.0157),併用薬剤数(P<0.0001)だった.NWSを発症した症例は7例(7.8%)だったが,NWS発症と関連する因子は年齢(P=0.0423),SSRIの使用(P=0.0023),三環系・四環系抗うつ薬の使用(P=0.0372),併用薬剤数(P=0.0003)だった.乳児院入所症例は4例(4.4%)だったが,乳児院入所と関連する因子は内服薬の自己中断の有無(P=0.0204)だった.多重ロジスティック解析では,NICU入院と最も関連する因子は併用薬剤数だった(オッズ比5.862,95%CI;1.784~19.259).乳児院入所と最も関連する因子は薬剤の自己中断だった(オッズ比13.12,95%CI;1.078~159.609).これらのリスクのある症例では,妊娠前から精神疾患のコントロールを十分に行うこと,妊娠中も内服の自己中断はしないよう指導し注意して妊娠経過を観察すること,出産後に向けてNICUスタッフやソーシャルワーカーなどの関係スタッフと連携を取ることが重要と考えられた.
著者
北澤 純 高橋 顕雅 西野 万由美 岡本 明子 宮元 伸篤 新川 由基 黒澤 学
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.136-141, 2018

<p><b>背景</b> : 外陰 Paget 病は外陰悪性腫瘍の 1~2%とまれな腫瘍である. 今回, 擦過細胞診にて外陰 Paget 病を推定しえた 2 例を経験したため報告する.</p><p><b>症例</b> : 症例 1 ; 82 歳, 女性. 2 年前より外陰部掻痒感, 発赤があり, 症状が増悪したため当院へ紹介され受診した. 外陰部の擦過細胞診では, きれいな背景に孤立性に N/C 比が高くクロマチン微細な小型細胞が散見された. 核小体が複数みられ, 軽度核形不整を伴う細胞も認められた. 集塊はみられなかったが, 相互封入像が認められた.</p><p>症例 2 ; 79 歳, 女性. 近医で子宮筋腫を認めたため, 当院へ紹介され受診した. 当科受診時, 外陰部に広範な発赤を伴う皮膚肥厚を認めた. 外陰部の擦過細胞診では, きれいな背景に N/C 比の高い小型細胞が孤立散在性に認められ, クロマチンは微細で核小体が目立っていた. 平面的な小集塊も 1 ヵ所あり, 細胞は N/C 比が高く, 核小体が目立ち, クロマチンは微細だった.</p><p><b>結論</b> : 外陰部病変の擦過細胞診で異型のある腺系細胞が認められたら, Paget 病も鑑別に入れた精査が必要である. また, 外陰擦過細胞診にてブラシを用いることで細胞採取数が増加し, 診断精度が向上する可能性が示唆された.</p>