著者
最上 晴太 近藤 英治 千草 義継
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

前期破水は早産の主要な原因である。早産は時に出生児に合併症・後遺症を残し、医学的・社会的に大きな問題である。本研究では、①ヒト羊膜において破水前に微細な損傷→修復という細胞外マトリックスのリモデリングが行われ、恒常性の維持機構があるか、②胎仔マクロファージ欠損マウスを用いて、自然免疫による羊膜の修復機構をin vivoで解析、③細胞外マトリックスによる前期破水の治療法の探索を行う。このように前期破水を「卵膜の恒常性の破綻」という新たな観点からとらえて、早産の予防・治療法の開発を目指す。
著者
近藤 英治 曽根 正勝 山原 研一 千草 義継
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

妊娠高血圧腎症や胎児発育不全は主に胎盤形成不全に起因する。病的胎盤からの放出因子が母体血管内皮を障害して高血圧や様々な臓器を障害する。一方、胎児では発育不全や胎児機能不全をきたす。この母児の生命を脅かす疾患の根源は胎盤にあり、胎盤形成不全の原因を明らかにし、胎盤機能再生療法を開発することは、周産期医学にとって喫緊の課題である。しかし、未だ胎盤形成のin vitroモデルはなく、まずは胎盤形成不全の機序を解明するため、胎盤を構成する絨毛細胞、血管内皮細胞、間葉細胞の代用として、ヒトiPS細胞由来絨毛様細胞、臍帯由来の血管内皮細胞、羊膜由来の間葉系幹細胞を共培養することで、胎盤の立体的器官芽(ミニ胎盤)を作成することに成功した。絨毛は2層構造であり、内側のCytotrophoblast(以下CT)と外側の(Syncytiotrophoblast(以下ST)から構成され、CTの融合により形成されるSTは母体血に面しており、母体と胎児の栄養・ガス交換を担っている。また、CTは絨毛外栄養膜細胞(EVT)にも分化し、脱落膜に付着したcell columnのCTから分化したEVTは子宮や子宮動脈内に浸潤する。ミニ胎盤ではこの3種の絨毛(CT, ST, EVT)が局在しており、より生体に近いモデルであると考えられた。ミニ胎盤は免疫不全マウスの子宮内でも生着するため、今後我々が開発したミニ胎盤はin vitroのみならずin vivoにおいても胎盤形成期の研究材料モデルとして用いることができる可能性がある、