著者
千葉 恒彦 小森田賢史 横田 英俊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.163-173, 2010-01-15
被引用文献数
1

近年,移動体ネットワークを構成する要素として,フェムトセルやピコセルなどの携帯電話の小型基地局が注目されている.フェムトセルは,高層ビルや地下など広域基地局からの電波が十分に到達しないエリアに配置し,通信エリアを拡充するために用いられるが,その他のメリットとして,少数ユーザで専有的に無線帯域を利用することによる通信容量の増加や移動体アクセスネットワークの負荷軽減などもあげられる.通信エリア拡充のため,オフィス内にフェムトセルを複数配置した場合,ユーザが移動しながらデータ通信を継続するためには,フェムトセル間のハンドオフ技術が要求される.とりわけVoIPなどのリアルタイムアプリケーションでは,フェムトセル間の高速なハンドオフ技術が重要な課題となる.本論文では,複数のプロトコル実装にともなうフェムトセルの負荷増大を軽減し,かつフェムトセル間ハンドオフを実現するプロキシMOBIKE方式について提案し,実装評価によりその有効性を検証する.Recently, small base station such as femtocell and picocell are drawing attention as new components of wireless access networks. These small base stations are used not only to expand the wireless area in a high-rise building or basement, where the signal strength from macrocell base stations is not often strong enough, but also to increase bandwidth capacity for IP data communication and reduce the load on the core network. If multiple femtocells are deployed in an office building to expand the wireless area, a handoff mechanism between femtocells is required to support the continuity of IP data communication. Especially, real-time applications such as VoIP require a seamless handoff mechanism. In this paper, we propose Proxy MOBIKE mechanisms that can realize an efficient handoff between femtocells and mitigate the complexity of femtocell implementation resulting from supporting multiple protocols. We also implement our proposed mechanism to verify and compare their effectiveness.
著者
小森田賢史 我妻 知典 千葉 恒彦 横田 英俊 井戸上 彰 羽鳥 光俊
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2623-2633, 2008-07-15

次世代ネットワークの中核技術として標準化が進められているIMS(IP Multimedia Subsystem)/MMD(MultiMedia Domain)においては,各端末の通信を制御するためにSIPを用いる.さらに,筆者らが着目するMMDでは移動端末のモビリティサポートのためにMobile IPの利用が想定されている.しかしながら,このSIPとMobile IPを併用する方式においては,それぞれが独立して処理を行うため,MMDセッションの移動制御が非効率となり,その結果ハンドオーバの遅延を招くという問題がある.本論文では,それら2つのプロトコルを連携させることにより,MMDセッション制御を高速化する手法を提案し,その方式設計について述べる.さらに,提案に基づいて実装,および評価を行い,MMDセッション制御時間の改善性について示す.
著者
小森田 賢史 伊藤 学 千葉 恒彦 横田 英俊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.7, pp.878-892, 2010-07-01

近年,ALL IPネットワーク上で高品質なサービスを実現するNGNが登場し,その中核技術であるIMSが注目されている.IMSは,従来閉じていた携帯通信事業者のサービスとインターネットなどのサードパーティとの連携を可能とし,連携したオープンなサービスの登場が期待されている.一方で,端末においても従来の通信事業者に特化した端末に対して,AndroidやLiMoのように端末共通のプラットホームに基づいたオープン化が進められている.特にAndroidは既に実用化されており,また構成要素の多くがオープンソースであるため自由度の高いプラットホームとして注目されている.しかしながら,それらを実際に用いたシステムとしての検証は十分ではない.そこで本論文ではAndroid端末にIMSクライアントを実装するための方針とアーキテクチャを提案し,実機上にその機能を実装する.また,IMSに接続して動作検証を行い,その動作と現在の課題を明らかにする.