- 著者
-
南山 浩二
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.25-36, 2007-02-28 (Released:2009-08-04)
- 参考文献数
- 55
社会学における障がい者と家族に関わる議論を, 社会的排除という概念を用いながら改めて整理しなおすならば, 大別して, (1) 障がい者が社会的に排除される機制に「家族」がどのように関わっているかを問う議論, (2) 家族成員が障がい者であることで家族が社会的に排除される機制を問う議論, の二つに集約される。ここ二, 三十年の間に, 精神障がい者と家族によって経験される社会的排除に関して多くの研究がなされてきたが, この二つの機制の関連性について議論する研究はあまり行われてこなかった。そこで, この二つの機制双方に留意しながら社会的排除のプロセスについて議論したい。このことに加え, 近年の障害者施策の転換や家族の変化が二つの機制にどのように影響を与えうるのかについても議論する。