著者
原田 禎夫
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.12-26, 2020-03-28 (Released:2020-05-15)
参考文献数
69

急速に深刻化する海洋プラスチック汚染や気候変動を受けて,脱プラスチックは世界的な潮流となっている.海洋に流出したプラスチックごみの大半は陸域から河川を通じて流出した食品の容器包装類を中心とした生活ごみである.また,中国をはじめとしたアジア諸国の廃プラスチック輸入禁止もあり,各国とも廃棄物管理政策を抜本的に見直さざるを得ない事態となっている.本稿では,海洋プラスチック汚染の全体像を概観し,近年研究が進む社会的営業免許(Social License to Operate)の観点から,従来の政府による規制や市場ベースのアプローチに加えて,コミュニティ・ベースのアプローチを導入することによる問題解決の可能性について検討する.
著者
原田 禎夫
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.45-51, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

近年、海岸へのごみの大量漂着が各地で問題となり、生態系への影響も深刻化するなど、「海ごみ問題」は新たな地球環境問題として社会的にも関心が高まりつつある。こうした海ごみの多くは河川からの流出による陸域由来の生活廃棄物が多くを占めることが明らかになっている。しかし、河川の漂着ごみは移動性がきわめて高い上に、発生源が多岐にわたることから、その実態はほとんど明らかになっておらず、抜本的な対策も進んでいない。本研究では、こうした河川の漂着ごみをめぐる最近の研究や日本と韓国の取り組み事例をレビューし、その発生抑制に向けた社会的な仕組みづくりの課題について考察する。
著者
原田 禎夫
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-7, 2017 (Released:2017-06-29)
参考文献数
37

近年、急速に深刻化する海洋ごみ問題への関心の高まりとともに、世界各国でプラスチック類の海洋への流出を防ぐための積極的な対策も講じられつつある。本研究では、オオミズナギドリの繁殖地として天然記念物の指定を受けている京都府舞鶴市の冠島とその対岸の野原地区で実施した飲料用ペットボトルを指標とした流出地の推定について報告する。2つの調査地点におけるペットボトルは、冠島では76.5%、野原地区では87.6%を日本製のものが占めていた。また、特に日本製ペットボトルの特徴として、小型ペットボトルが占める割合が極めて高く、これは全国的な傾向と同じであった。小型ペットボトルが市場シェアの大半を占める国内での有効な発生抑制対策として、早急なペットボトルのデポジット制度の導入が望まれる。