著者
Anne Marit VIK 土田 さやか 橋戸 南美 小林 篤 秋葉 由紀 原藤 芽衣 牛田 一成
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.95-101, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
26

ニホンライチョウの飼育では,雛の高い死亡率がかねてより問題になっていたが,その原因として移行抗体が不十分である可能性が指摘されていた。2020年に中央アルプスで単独で暮らす飛来雌が産卵をしたためその未受精卵と動物園で得られた未受精卵の卵黄抗体(IgY)および卵白中のIgA抗体とIgM抗体の濃度を比較した。卵黄IgY濃度は,飼育下未受精卵が高値を示したが,統計的には有意でなかった。卵白IgA及び卵白IgMは,いずれも低値を示し,二群間に有意差はなかった。母鳥からの移行抗体量に野生と飼育下に差があるとはいえず,飼育下の雛の高い死亡率を説明する要因ではないと推測された。
著者
上田 海那人 原藤 芽衣 白井 幸路 米山 州二 戸﨑 香織 宮﨑 綾子
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.53-59, 2021-06-14 (Released:2021-08-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

2020年5月,栃木県内の動物飼育施設で飼育しているカイウサギ(Oryctolagus cuniculus)15羽中11羽が相次いで死亡した。肉眼所見では全羽に重度の肺出血が認められ,病理組織学的検査で肝細胞壊死ならびに腎臓および肺における播種性血管内凝固が確認された。死亡したウサギの肝臓でRT-PCR法により兎出血病ウイルス(RHDV)遺伝子が検出され,VP60遺伝子の分子系統樹解析により RHDV2(Lagovirus europaeus GI.2)に分類された。以上のことから,本症例をRHDV2感染による兎出血病と診断した。