著者
中村 正彦 鈴木 豊 小林 真 友田 春夫 高橋 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.104-111, 1988-01-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
13

いくつかの成分曲線が線形に重畳した曲線群から,成分曲線の形を仮定せずにもとの成分曲線を復元する新しい方法,すなわち最大エントロピー原理を基礎とした方法を心RIアンジオグラフィから得られる時間放射能曲線に適用した結果について報告している.まず最初に最大エントロピー原理について概説し,ついで核医学動態画像解析の理論的基礎として本論文で取り扱う問題の定式化を行っている.3番目に,未知混合曲線からもとの成分曲線を復元する方法すなわち最大エントロピー原理を基礎とした新しい方法について概説している.最後に,心RIアンジオグラフィへの適用結果について示している.関心領域としては,心臓全体をカバーするようにしたもの,右心室領域をカバーするようにしたもの,左心室領域をカバーするようにしたものの3種を設定し,これら3種の関心領域から得られる時間放射能曲線群に方法を適用して,成分数を変えた場合の復元結果の違い等について検討している.これらの検討結果より,ここに示した方法は注意深く関心領域を設定することなしに対象臓器の時間放射能曲線を復元することが可能であり,従来核医学動態機能検査の基本的問題点の1つであった対象臓器の時間放射能曲線に重畳する他臓器由来の時間放射能曲線の除去に対する1つの解決法になることが示唆されている.
著者
椎名 豊 本間 康彦 三神 美和 周 顕徳 吉川 広 石原 仁一 佐藤 美智子 東野 昌史 木下 栄治 田川 隆介 玉地 寛光 友田 春夫 中谷 矩章 五島 雄一郎
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.573-579, 1984

健常者6名に, 2日間同一の食事を摂取させ, 2日目に毎食時30grの脂肪 (P/S比1.2) を摂取させ, LCAT活性, 血清総コレステロール (TC), トリグリセライド (TG), 遊離コレステロール (FC), HDLコレステロール, 遊離脂肪酸 (FFA), 血糖 (BS), IRI値を, 空腹時, 朝食後, 1, 3時間, 昼食後2, 4時間, 夕食後2, 4時間の7時点で測定し, 日内変動を検討した. 空腹時LCAT活性は, 第1日目59.8±14.2 (平均±標準偏差) nM/m<i>l</i>/hrで, 第2日目58.4±13.3nM/m<i>l</i>/hrであり, 日内変動は認められず, 脂肪負荷の影響も認められなかった. TG値は昼食後2時間がピークで, その後低下する傾向が認められ, 脂肪負荷で食後上昇した. TC, FC, HDL-C値は日内変動, 脂肪負荷の影響とも認められなかった. FFAは, 空腹時最も高く, 食後低下した. 脂肪負荷で昼食後2時間目以後, 負荷前日の値より高値であった. BSの変化は軽微で, 午後わずかに上昇した. IRI値は午後以後高値で推移し, このことがTGの処理を亢進させ, 血清TG値が, 昼食後2時間をピークに低下することの原因と考えられた. LCAT活性と空腹時のTC (r=0.632, p<0.05), TG (r=0.793, p<0.01), FC (r=0.855, p<0.001), HDL-C (r=0.577, p<0.05), と正相関が認められた. 測定全時点で検討すると, LCAT活性はTC (r=0.403, p<0.001), TG (r=0.508, p<0.001), FC (r=0.415, p<0.001), HDL-C (r=0.503, p<0.001), FFA (r=0.266, p<0.02) と正相関が観察されたが, 空腹時のみの場合よりTG, FCとの相関係数は低下した. 脂肪負荷テストのように大量でしかも脂肪のみ負荷した場合とは異なり, 日常摂取しているような食事ではLCAT活性の日内変動はあっても極く軽微と考えられた.
著者
友田 春夫 滝川 修 森本 浩司 藤田 有希美 岩本 智超 多田 博己 小熊 俊明 臼井 和胤 椎名 豊 吉岡 公一郎 布施川 雄一 田川 隆介 井出 満 鈴木 豊
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.26, no.Supplement1, pp.139-145, 1994-01-31 (Released:2013-05-24)
参考文献数
20

不安定狭心症,非貫壁性心筋梗塞を主とする,acute coronary syndromes例における虚血心筋の評価を,123I-MIBG,201TlClSPECT法にて試みた.123I-MIBG 111 MBq(3mCi)静脈内投与90分後より心筋SPECT像を撮像後,引き続き201TICIを投与15分後より心筋灌流SPECT像を撮像した.冠動脈造影は1週間内に施行した.非貫壁性心筋梗塞症例7例の内,201TlClによる心筋灌流低下一欠損部位を特定できない3症例においても,123I-MIBG心筋像では全例責任冠動脈領域の欠損像を描出し得た.不安定狭心症例にて,6例中3例においては,血清酵素の逸脱所見を認めず,かつ201TlClによる心筋灌流正常所見であっても,123I-MIBG心筋像では,責任冠動脈領域の明確な欠損像を描出し得た.以上のように,123I-MIBG心筋像により,他の方法で捉えられない,過去数週以上の虚血発症部位が描出されることが示された.