著者
古川 直美
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.99-110, 2019-03

本研究の目的は、看護基礎教育における職種間連携・協働に関する教育内容の示唆を得るために、職種間連携・協働の実践事例から、看護の専門性に立脚した職種間連携・協働を推進する要素を明確化することである。 対象は、病院(病棟、退院調整部門、外来部門)、福祉施設(特別養護老人ホーム)、市町村保健センター、訪問看護ステーションにおいて、中心的役割を果たしている看護職6 名である。職種間連携・協働が円滑に展開できた事例、円滑に展開できなかった事例について、聞き取り調査を実施した。逐語録から、職種間連携・協働に関わる部分を抽出・解釈し、職種間連携・協働を推進する要素として分類した。 職種間連携・協働を推進する要素は、【原動力となる信念・動機がある】、【利用者に提供される医療・介護サービスの中や、他職種との関係の中で、看護の業務・責務を位置づける】、【必要なケアの判断及びケアの実施に向けてネットワークを拡げる】、【医療チーム・ケアチームでの活動が成立するよう働きかける】、【他職種の方針・判断を把握し、看護の判断・見解を踏まえて調整を図る】、【他職種・他部門・他機関で助け合い、補い合う】、【主体である利用者の参加を支援する】、【取り組みの結果を確認し、学びを得る】、【利用者・他職種・他部門・他機関に看護の役割・機能の理解を促す】、【他部門・他機関と繋がるための基盤を作る】、【ケアの充実に取り組む職場の風土がある】の11 に分類された。 先行研究における職種間連携・協働で重視されていること等の検討から、見いだされた11 の要素は、職種間連携・協働の推進に必要な要素と捉えられた。教育内容としては、原動力となる信念・動機をもつことやチーム活動の展開等に関わる内容が考えられたが、実践現場における継続教育が適することもあるため、看護基礎教育で何をどう教育するか検討が必要である。