著者
山本 真実 浅野 みどり 野村 直樹
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.4_733-4_744, 2020-09-20 (Released:2020-09-20)
参考文献数
29

本稿では,時間を言語として見る立場から,療育教室に通う子どもの母親が語る我が子の成長を,時間のことばとして記述することにより,対話を通じ母親が理解する成長とはどのようなものか,成長をナラティヴとして理解するとはどのようなことかを議論する。筆者(山本)は,母親との対話と療育教室での参与観察を行い,成長がどのような刻み方(punctuation)を有した時間で語られるかに注目した。母親が語る時間のことばには,①別々に語られる時間のことば,②相反する時間のことばがせめぎ合う葛藤,③全ての時間を等価に語る時間のことば,があった。母親は,どんな時間も選ばれる価値を等しく持つとする『等価な時間』という視座を獲得し,それに沿って成長を理解していった。『等価な時間』とは,成長をナラティヴとして理解するための考え方であり,これまでの成長の理解を見つめ直すときに役立つ時間のことばのポリフォニーのことである。
著者
宮倉 崇 大越 加奈恵 水上 潤哉 室 繭子 山本 真実 荒井 佳恵 永井 彩子 入澤 亮吉 山崎 正視 坪井 良治
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.213-219, 2008-02-20 (Released:2014-12-03)

2005年末のフィナステリド(プロペシア®)の発売以来,東京医科大学病院皮膚科では2006年11月までに449名の患者が内服治療を受けている.初診時に男性型脱毛症の病型分類と患者の体毛の濃さを診察し,あわせて家族歴,環境因子,現在までの治療,内服薬への期待などについてアンケート調査を行った.また,6カ月以上内服した症例については,使用前の臨床写真と比較して有効性を判定した.これらの調査の結果,受診患者のNorwood-Hamilton分類は軽症のII型が43%,III型が17%と両者で約半数を占め,重症のVI型,VII型は10%以下であった.有効性の判定では,「やや改善」以上は内服半年後で66%であった.髭,胸毛,四肢など体毛同士の比較では,その他の体毛と比べて髭,下肢が濃い傾向が認められた.家族歴では患者の父親に男性型脱毛症があるのが68%で,祖父は44%であった.また,内服脱落例は全体の17%であり,受診時年齢,家族歴,飲酒の有無が脱落症例と関連が認められた.内服経過中に重大な副作用を生じた症例はなく,服用中止は1例であった.