著者
原田 めぐみ 奥村 美奈子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.41-52, 2019-03

本研究の目的は、第1 段階で作成した回復期リハビリテーション病棟における脳血管障害患者の生活の再構築過程を支える[援助方針と援助体制]を用いて援助を実践し、その実践を評価することで回復期病棟における脳血管障害患者の生活の再構築を支える看護のあり方を検討することである。 対象者はA 回復期リハビリテーション病棟の看護職12 名、介護職7名、脳血管疾患患者3 名であった。本研究の第2段階として看護職と介護職がノートを用いて情報共有し、[援助方針]を用いてケースカンファレンスを行う体制で患者に援助を実践した。患者には退院前に半構成的面接を行った。看護職と介護職には質問紙調査を行い、実践の評価と今後の課題を検討した。 回復期リハビリテーション病棟における脳血管障害患者の生活の再構築過程を支える[援助方針]は、1) 患者・家族とともに今後の方向性を考える、2) 精神的な回復を支える、3) 患者の意欲を支える、4) 退院後も患者の支えになれるように家族を支援するに、援助の実践を通して5) 高次脳機能障害のある生活を支える、6) 身体機能を整える、7) 活動を促す、8) 社会参加や役割遂行を支えるが新たに追加された。[援助体制]には、介護職との協働に加えてリハビリ職との協働体制を整える必要性が明らかになった。 身体・心理状態が不安定な中でリハビリが始まる回復期病棟では、高次脳機能障害による生活への影響を考え、患者が主体的に生活を再構築するために患者の心身の基盤を整え意欲を高めながら活動を支え、ADL が自立した後も社会参加や役割遂行の援助を継続し、患者がどのような自分でありたいか、そのために何が必要かなど今後長期的に自分で生活を営むための気持ちや姿勢の基盤づくりを支える看護が重要であると考えられた。[援助方針]の各項目を同時に、かつ病棟全体で統一して実施するために、看護職は他職種ともお互いの意見を伝えやすい環境づくりに努める役割がある。