著者
鈴木 直恵 岡田 宣子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.835-842, 2000-10-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
12

衣生活行動の自立へ向かう小学校3~6年生女子1, 311名を対象に, 心身の発達を考慮した, 子供服の設計並びに子供の衣環境整備・被服教育のための基礎資料を得ることを目的として, 質問紙調査法により衣生活行動の現状および問題点をとらえた.主な結果は次の通りである.1.通学服の組み合わせを, 3年生では約70%, 6年生では90%以上が自分で決定しており, 主に色の調和を考えて組み合わせを行っている.2.体育のある日には更衣に配慮して, 約40%がかぶり式上衣で登校する.また学年が進むにつれ家からブルマーをはいて行く人が増加する.3.5, 6年生になると, 自己の体つきに対する意識が強まり, 大腿部が見えるミニスカートやブルマーを嫌う傾向がみられ, スカート丈を気にするようになる.4.5, 6年生では, 生理時に濃い色の服を着たり, ブラジャーが目立たないよう透けない服を着ようと配慮している.
著者
鈴木 直恵 岡田 宣子
雑誌
繊維製品消費科学
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.52-59, 2000-10-25

衣生活行動の自立へ向かう小学校3~6年生女子1,311名を対象に,心身の発達を考虚した,子供服の設計並びに子供の衣環境整備・被服教育のための基礎資料を得ることを目的として,質問紙調査法により衣生活行動の現状および問題点をとらえた.主な結果は次の通りである.1. 通学服の組み合わせを, 3年生では約70%, 6年生では90%以上が自分で決定しており,主に色の調和を考えて組み合わせを行っている.2. 体育のある日には更衣に配慮して,約40%がかぶり式上衣で登校する.また学年が進むにつれ家からブルマーをはいて行く人が増加する.3. 5,6年生になると,自己の体つきに対する意識が強まり,大腿部が見えるミニスカートやブルマーを嫌う傾向がみられ,スカート丈を気にするようになる.4. 5,6年生では,生理時に濃い色の服を着たり,ブラジャーが目立たないよう透けない服を着ようと配慮している.The purpose of this is to determine clothing preferences of 1,311 elementary school girls from grades 3 to 6 through questionnaires. As this level of an important stage in the development of mind and body, better design of clothing to meet the needs of these children is required. The results are follows:1) A 70% of the third grades and a 90% of the sixth grades girls select their clothing for school by themselves and with attention to matching colors.2) To changes easier their clothing to gymnastic uniform, about 40% of girls put on pullover shirts and upper grade girls put on bloomers before they leave for school.3) It was evident that fifth and sixth grade girls were very conscious of their own physique and cared about skirt length. The reason why girls dislike wearing miniskirts and bloomers was exposure of thighs.4) Fifth and sixth grade girls usually wear color clothing during menstruation and they use clothing in which their bras don't show through.
著者
岡田 宣子
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.139-150, 1971 (Released:2008-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

示數7項目を用い,日本人(5歳~20歳,各年齢男女各100名)の身体比例の年齢的変化を観察した.また,示数7項目を組み合わせて身体比例に基づく年齢区分を試みた.その結果,示数項目の年齢による変化様相は男女とも3つの型(増加型,減少型,増加•減少型)に分類出来る.身体比例は年齢とともに変化してゆくが,各年齢の体型を特徴づけて考えると類似した体型を一括することが出来る.そこで Table3のように,身体比例に基づく年齢区分を行なった.
著者
古松 弥生 岡田 宣子 松山 容子 有馬 澄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.919-925, 1989 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人女子の体幹の形状特性を, 年齢的変化に着目しながら類型的に把握することを目的としている。工技院の体格調査資料 (484名) を用いて主成分分析を行うことにより, 主成分を代表する計測項目を選定し, クラスター分析を行い体型の類型化を試みた.1) 得られた主成分 (Table1) は第1主成分としてはサイズファクター, 第2主成分としては体幹部の厚みに対する肩部の幅のプロポーション, 第3主成分としては体幹の丈と肩部の幅のプロポーション, 第4主成分としては肩部の傾斜度, 第5主成分としては体幹上部の丈と下部の丈とのプロポーションと解釈された.形態特徴を表すこれらの主成分は年齢が加わってもあまり変化しない.しかし, 主成分へのかかわりは年齢により相違すると考えられる.2) 計測項目・示数項目の検討から, 体幹の厚みを表す腰部や胸部の矢状径, および体幹の太さを表す胸囲・胴囲などの周径項目は, 加齢とともに増加傾向を示し, 体幹の厚み・太さが著しく増加し, 腰囲/胴囲・腹囲/胴囲などの年齢的変化 (Fig.1, Table4) から, ずん胴型へ移行していることが確認された.3) 体幹の形状の情報を表す主成分に強いかかわりをもつ項目として, 胸囲・背肩幅・背丈・B.N.P.-W.L.・W.L-座面・肩傾斜の6項目を選定し, クラスター分析により体型の類型化を行った.その結果12個のクラスターが得られ, 年齢グループ別の分析でもほぼ同様なクラスターが得られた (Fig.2, Fig.4) ことから, クラスターそれぞれは体型の個体差を表す類型であると判断される.一方, 各クラスターの身体部位の計測値 (Table5) や出現率 (Fig.3) には年齢の影響がみられた.これらは, 成人期においては体型の個体的特徴は年齢を越えて持続すること, しかし年齢の影響は同一類型でも具体的なサイズや寸法を変化させ, さらに各類型の出現頻度の変化を引き起こしていることを明示するものである.
著者
岡田 宣子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.138-145, 1995-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2

表面電極を頭皮上のCZとC4'に置き, 体性感覚誘発電位の中・長潜時成分に着目して, 衣服圧の生体に及ぼす影響を検討した.被験者は成人女子4名で繰り返し実験を9回行った.鼻に装着したサーミスターから呼吸曲線をモニターし, 吸息相及び呼息相の終わりに近い時点でトリガーをかけ, 上肢正中神経を刺激した.なおウエスト位置に装着したカブの加圧量は, 官能検査の際被験者がきついと回答した約30mmHg程度である.刺激により生じた体性感覚誘発電位を128回平均加算して得られた波形から, 頂点潜時と頂点間振幅を求め, それらの平均値で検討した.1) 頂点潜時は体性感覚野により近いC4'がCZよりやや短い.2) 衣服圧の影響はC4'より上位にあるCZに, より強く生じていた.3) CZの頂点間振幅P2-N3は, 深吸圧>呼圧>吸圧の順であった.衣服圧と圧迫感覚値の検討結果では, 吸息相の方が加圧影響が強いが, 脳の活動レベルから考えると, 呼息相により強く加圧の影響が生じていた.
著者
岡田 宣子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.37-44, 1992

自己の体つきの意識と体つきに配慮する生活行動とのかかわりを, 下着の衣生活を中心に検討するため, 質問紙調査に基づき数量化第III類を用い考察した.対象は20歳前後の女子400名とその母親366名である.調査は1985~1988年の5~6月に実施された.<BR>(1) 各解析項目の検討から, 体つきに配慮する生活行動を食生活やスポーツに求める人は, 娘, 母親ともに20%を占めている.これに対し, ブラジャーおよびガードルに整容効果を求める人は母親60%, 娘45%で, 体つきに配慮する生活行動を衣生活に頼っている現状が明らかになった.<BR>(2) 胸囲, 胴囲, 腰囲を大きいと意識する者は, 痩せるために食生活やスポーツにも体つきに配慮する生活行動を起こしている傾向がみられた.<BR>(3) 娘と母親とは胸囲に対する意識構造が異なり, ブラジャーの着用行動には明白な相違が認められた.<BR>(4) ガードルの着用行動には娘と母親はともに類似した傾向が認められた.<BR>(5) ファウンデーションの着用による弊害経験が, 実生活でブラジャーおよびガードルを着用しないとする行動とかかわっていることが明らかになった.このことは, 肌に密着したファウンデーションの生体に与える影響の大きいこと, ブラジャーおよびガードルの適正な活用のたいせつさを示唆しているものと思われる.
著者
岡田 宣子 渡部 旬子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.87-98, 2008-02-15
被引用文献数
2

ユニバーサルデザインの設計要件として,身体機能の低下が反映された腕ぬき・腕入れしやすいかぶり式上衣のゆとり量を一般解としてとらえるために,介助されずにどうにか自立している高年(29名)に更衣を行ってもらい若年(83名)と比較し検討した.6サイズの実験衣の中から最適なサイズを選び,ゆとり量3種とAH下げ寸法を2種変化させた6着の実験衣table tableを用いて椅座位で実験を行い,腕ぬき・腕入れ動作所要時間を測定した.高年では身体への負担を詳細に評価するため同時に重心動揺測定を行った.腕ぬき可能となる時の被験者の体形とパターンとの関わりをみるために身体計測を行った.主な結果はつぎのとおりである.1)円滑な更衣動作を行うためには,腕ぬき可能となるBL上の最小ゆとり量より若年では4cm,高年では8cmゆとり量を多く要する.これは若年では腕ぬきしやすいゆとり空間を確保するため,実験衣を左腋下までずらせ,脊柱を側屈し柔軟かつ敏速に対応しているが,高年では身体機能の低下が影響して,若年のように細やかに対応できず衣服をずらさず,着たままの状態でAHから腕ぬきしている傾向があることによる.若年・高年ともに腕ぬきの方が腕入れより身体負荷が高く生体への負担が大きいことがわかる.2)身体計測値と腕ぬき可能な最小ゆとり量の実験データを含めた18項目について主成分分析を行ったところ,4つの主成分が抽出された.第1主成分は体幹の太さ,第2主成分は肩峰幅,第3主成分は腕ぬき可能なバスト最小ゆとり量,第4主成分は肘丈と解釈された.累積寄与率は76%である.各主成分の主成分得点の平均値を高年と若年とで比較した.高年が若年より第1・第3主成分では大なる,第2主成分では小なる有意差が認められた.3)解析項目の平均値の検討から,高年と若年とでtableは,腕ぬき可能なバスト最小ゆとり量はそれぞれ28cmと19cmである.このように腕ぬき可能な最小出来上がりバスト寸法は高年が10cm程大きい(腕ぬき可能な最小出来上がりAH寸法は54cmと49cm).4)円滑に腕ぬきできるゆとり量を確保するには,胸囲に高年では36cm,若年では23cm多く加える必要があることが明らかになった.これらには,素材やデザイン・パターンによる工夫で見栄えを良くするための配慮が求められる.
著者
岡田 宣子 鐸木 夏実
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.623-635, 2013 (Released:2014-10-23)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

In order to ascertain appropriate clothing requirements for young children it is necessary to take into account their ongoing physical development. To this end, a lifestyle survey of infants was carried out (Okada 1990). This survey used a sample of 622 boys and girls under the age of 6 years and made particular reference to the youngsters’ clothing preferences.   The following observations were made: 1) Hayashi’ s Quantification Method Ⅲ was applied to 24 motor skills related to the subject’s ability to get dressed and undressed. The data, plotted along two axes of a graph, resulted in a clear ‘U’ curve. A correlation was thus established between motor skills and scores. This study provided useful data with respect to clothes’ design for young children. 2) With the exception of tying and untying drawstrings, Okada’ s data suggests that children show more dexterity (dressing and undressing themselves) at an earlier age than suggested by Yamashita (1935). Socio-cultural factors reflecting the time span between the two sets of data may account for this difference. In other respects, both sets of data show a number of similarities; for example, their developmental stages are in regular order and girls were proven to have higher levels of dexterity at an earlier age than boys. 3) In order to foster a sense of independence it is necessary to encourage youngsters to dress and undress themselves at the age correspond with their developmental stage. With this in mind, we hope the results of this research will better help mothers and carers make more appropriate clothing choices for their children.
著者
岡田 宣子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.31-40, 2004-01-15
被引用文献数
5

To help the elderly and physically disabled put on and take off clothes unaided, it is important to consider the way clothes are made. In a trial, thirty-five elderly women aged 64 to 90 years and thirtythree younger women aged 21 to 29 years wore six experimental versions of clothing chosen at random. The comfort level was determined by adjusting the arm hole line in relation to the bust line (B.L.), using two fixed underarm sizes and three levels of looseness. In each case the following data was recorded : 1) the amount of time the subjects needed to put on and take off the garments ; 2) the degree of movement the subjects had as they dressed and undressed from a sitting position. Analysis of the above data led to the following conclusions : 1) It took the subjects significantly longer to get dressed than to get undressed ; 2) Regarding the looseness factor for the elderly subjects, women with standard body types required 28 cm, those with thick body types (shoulder breadth/bust girth<0.44) required 24 cm and those with slender body types (shoulder breadth/bust girth>0.48) needed between 28 cm and 32 cm. These figures were, on average, 12 cm greater than those for the younger subjects ; 3) Regarding the distance from the B. L. to the arm hole, the elderly subjects needed an additional 2 cm when the looseness was insufficient. This was not required by the younger subjects. The above data suggests that, for elderly people, there is a direct correlation between the way clothes are designed and the ease with which they may be used.
著者
岡田 宣子
出版者
文化女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

高齢者・障害者には、脱ぎ着しやすく着心地の良い被服の提供が必要なので、重心動揺を指標として快適被服設計の原則をとらえた。高年17名の実験はフィールドワークで、若年33名には衣服圧測定や官能検査も含め着用実験を行った。椅座位動作時の重心動揺、所要時間に着目し解析した。1.服種別に検討した所、高年女子ではワンピースより2部式被服の方が楽で、ソックスは生体負担が大きく、前あき上衣が一番扱いやすい。高年男子では障害者が好んで着用する服種は、生体負担が少なかった。着衣時には患側を先に操作しかばっていた。かぶり式シャツは頭髪の汚れを気にすると扱いが大変になる。2.バストライン(BL)上のゆとり量・アームホール(AH)下げ寸法を変化させたブラウスの着脱実験から、ゆとり量の多い方が有意に着脱しやすく、機能低下の顕著な人には(AH)を2cm下げると生体負担が有意に減少した。若年のかぶり式被服の腕入れ腕ぬきに必要なゆとり量は、厚みのある体型で20cm、普通体型で20cm〜24cm、偏平体型で24cmである。(BL)上のゆとり量は、衣服圧及び全体・肩部・上腕部の着用感に、(AH)下げ寸法は肩の着用感に有意に関わっていた。着用者からみた適切ゆとり量は、高年については厚みのある体型で20cm、普通体型で24cm、偏平体型で28cmである。若年では高年よりいずれも4cm少ない。着用者のこの好みの結果は実験結果と矛盾しないが、若年では偏平体型以外は、腕ぬきでないゆとり量である。機能の低下している人にはゆとり量を増やし負担を軽減する必要がある。3.パターンとの関わりをみると、更衣動作の難易には左後腋点〜右肩峰点までの体表長(AB)と上腕長(BC)が深く関わり、(AB)のバイヤス方向のゆとり量が重要な要因として働く。袖山の高さは着脱性の難易や着心地に大きく関わり、機能低下の著しい人には、袖山の高さを低くし袖の被覆面積にゆとりを持たせ、上腕部の運動適応性を高めることが有効である。