著者
古角 好美
出版者
日本教育カウンセリング学会
雑誌
教育カウンセリング研究 (ISSN:21854467)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.31-39, 2020

本研究の目的は,2年間にわたり「学校保健論」を受講するA大学保健医療学部看護学生を対象に「LTD(Learning Through Discussion)話し合い学習法」を試行し,その効果を多角的に検討することであった。専門教育科目の「学校保健論」を選択した受講生を対象に小集団による「LTD話し合い学習法」を2ヶ年(2016年度43名,2017年度44名,延べ87名)にわたり実施した。教育効果検証のために,3回の時期(事前・事後・追跡)を設定した質問紙調査を行った。その結果,①ディスカッション・スキル,②協同効用,③コミュニケーション・スキル,④自尊感情において,事前に比べ事後の得点が有意に高く,追跡においてもその効果を維持している可能性が示された。さらに多角的な効果を検討するため,3回の時期と2群(高・低)を組み合わせた分析を行ったところ,低群においては,②協同効用と④自尊感情が事前に比べ事後の得点が高く,追跡でも持続している可能性が示唆された。
著者
古角 好美 水野 治久
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.157-169, 2009-02

本研究の目的は,小学校5年生を対象にストレスマネジメントプログラムを実施しその効果を検討することであった。プログラムは主に「心理的ストレスのメカニズムに関する理解」と「コーピングとストレス反応の関連を調査し得た結果を参考にした。介入効果の比較検討のために実験群22名と統制群(待機群)22名に分け,20時間のストレスマネジメントプログラムを実施し,6回の調査(介入前・介入中1・介入中2・介入後・追跡1・追跡2)を行った。その結果,コーピングにおいては肯定的認知対処得点の一部で上昇はみられたが,ストレス反応軽減効果は認められなかった。This study investigated the effects of a stress management program on elemental school children. First, questionnaire research was conducted with 99 elementary school children to clarify the relationship between various coping strategies and stress responses. The results indicated that emotional avoidance coping and support seeking coping were positively related to stress responses. Second,20-hour stress management programs were conducted with two groups of students: intervention group (22 students) and waiting list control group (22 students). Participants responded to a coping style scale and a stress response scale for six waves: pre, midpoint 1, mid-point 2, post, follow-up 1, and follow-up 2. The results showed significant favorable intervention effects for the positive cognition coping style, but there were no other significant effects.