著者
伊藤 毅志 古郡廷治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.53, pp.1-5, 1999-06-24
参考文献数
2

従来、人間の問題解決において、問題を解くために、色々な図を描いたり道具を使ったりするような、様々な別の表現を持っていることが問題解決に有効に働くことは指摘されてきた。本稿では、思考支援を促すために、将棋の駒の効きを視覚的に示す新しい表現を提案する。我々は、この新しい表現をコンピュータ上で実現し、4つのレベル(初心者、初級者、中級者、上級者)の将棋プレーヤーにこのシステムを使わせて、思考過程に与える影響について調査した。その結果、初級者が最もこのシステムを積極的に利用しようとする過程が見られ、システムに対する評価も高かった。It is known that the problem solver who has various kinds of representations of the problem like diagrams gains the advantage to solve it. In this article, we propose a new visual representation on SHOGI that shows on colors the move of pieces of a position. We realized this system on computer to examine how four levels of players (beginners, novice, middle-grade and expert )use it and how they are influenced by using it. As the result, novice players took a most positive attitude about this system and they prized it most highly.
著者
伊藤 毅志 杉本 新也 古郡廷治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.23, pp.33-40, 1995-03-06

本稿では、マルチエージェントによる協調問題解決の例として四人将棋を挙げる。四人将棋では、状況の変化に対応して各プレーヤーの役割が変わる完全情報確定ゼロ和ゲームである。四人将棋において協調的な思考がどの様に実現されているのかについて考察した。(四人将棋には、2対2でチームを組み闘うダブルスと、全員敵同士になるシングルスの2種類があるが、本報告では、特にダブルスにおける協調問題解決行動を扱った)まず、四人将棋をコンピュータ通信上で実現するシステムの構成を説明した。そして、そのシステムを用いて、ダブルスのパートナーと対話できる条件と、対話できない条件の2条件の心理実験を行った。対話ができる条件では、指し手の方針や、読みが、対話ができない条件では、パートナーの方針、読みを予想することによって補われ、協調的な思考の基となっていることが分かった。この心理実験の知見をもとに、四人将棋におけるプレーヤーの思考過程を説明する認知モデルの骨子を提案した。本稿は、本年1月にHI研究会で報告した「四人将棋における暗黙のコミュニケーションに関する研究」の原稿をもとに加筆、修正したものである。We deal with the cooperative problem solving process in playing "four-players-SHOGI", a two-against-two (or sometimes four-way) game in which two persons on side cooperate each other to win the game. We explain firstly the organization of a four-player-SHOGI to be implemented on computer network. We analyze secondly the results of an experiment that show how the two players on the same side cooperate each other explicitly when allowed and implicitly when not allowed. Based on the analysis, we offer lastly acognitive model that explains players' mental behavior for making a move in the for-players-SHOGI. This paper is revised one basis on "Implicit Communication in Playing 'Four-Playing-SHOGI'", published in HI-58-4 (1995).
著者
伊藤 毅志 古郡廷治
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.93(1996-CE-041), pp.49-56, 1996-09-20

本稿では、自立的学習を支援する新しいCAIシステムのための基礎研究について説明する。このシステムは、間接指導と自己観察の二つの指導法を組み込んだシステムである。まず、間接指導と自己説明について説明し、実際の教育実践活動の結果をもとに、さらに考察していく。また、これまで提案してきた間接指導に基づいたCAIシステムについても説明し、自己観察をこのシステムに組み込んだ新しいシステムの全体像を紹介する。
著者
彭渠江 高倉 佐和 古郡廷治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.20, pp.59-66, 2001-03-05

本稿では、単語の意味的曖昧性を解く手法の開発と、それをもとにして行った曖昧性解消の実験結果を報告する。テキスト中の単語の語義(sense)は、一定の文脈の中で、その単語とよく共起する他の単語と高い相互情報量をもつ。この特徴を使い、単語(w)が使われている文脈中で出現し、wと類似度の高い単語のベクトルと、wがもつr個の語義のそれぞれが使われている文脈中で出現し、wと類似度の高いk個の単語のベクトルとの間の相互情報量を計算し、その値が最も高くなった密度値と結合している語義をwの語義として採用する。この手法によって行った実験では、91.5%の高率で多義語の正しい語義を特定することができた。We describe a method and its experimental results for word sense disambiguation that is based on a statistical measure of word similaritites. First, we obtain contextual-similarity vectors for the senses of a polysemous word using a corpus. Second, we define also the contextual representation for the same word appearing in text. Third, we do a calculation of distributional matrix between each contextual-similarity vector and the contextual representation for the word to be disambiguated. Fourth and finally, comparing the values of distributional matrices, we select the sense with the highest value as the meaning of the polysemous word. An experiment shows that the rate of finding correct word senses exceeds over 91%.