著者
松本 健二 小向 潤 笠井 幸 森河内 麻美 吉田 英樹 廣田 理 甲田 伸一 寺川 和彦 下内 昭
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.659-665, 2013 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕ホームレス結核患者の治療成績に関連する要因と服薬支援の状況について検討した。〔方法〕平成19~21年の大阪市におけるホームレスの結核新登録患者433例を対象とした。治療成績に関連する要因として,入院期間,外来治療予定期間,DOTSの型等を検討した。対照として大阪市における平成19~21年のホームレス以外の肺結核新登録患者3047例を用いた。〔結果〕①治療成功と失敗中断における服薬支援等の状況:治療成功は311例で219例(70.4%)が院内DOTSにて入院のまま治療を終了した。失敗中断は48例で35例(72.9%)は自己退院であった。肺結核患者における失敗中断率はホームレス結核患者が11.0%であり,ホームレス以外の結核患者の6.5%に比べて有意に高かった(P<0.001)。②地域DOTSと治療成績:地域DOTS実施は102例で,週5日以上の服薬確認は66例(64.7%)と最も多くを占めたが,失敗中断は10例(9.8%)であった。入院および外来治療予定期間と治療成績では,入院期間は脱落中断が2.0±1.6カ月,治療成功が4.4±2.5カ月であり,外来治療予定期間は脱落中断が7.9±2.7カ月,治療成功が3.6±2.1カ月であり,入院期間の短い例と外来治療予定期間の長い例で脱落中断が有意に多かった(P<0.01)。〔結論〕ホームレス結核患者の失敗中断率は高く,自己退院によるものが多かった。治療成功例では入院のまま治療を完遂することが多く,地域DOTSにつながった例では週5日以上の服薬確認を行っても失敗中断率は高く,特に入院期間の短い例と外来治療予定期間の長い例では十分な支援が必要と考えられた。
著者
永井 仁美 下内 昭 高松 勇
出版者
日本小児呼吸器疾患学会
雑誌
日本小児呼吸器疾患学会雑誌 (ISSN:09183876)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.130-136, 2009-01-31 (Released:2011-01-25)
参考文献数
4

小児結核患者数が減少しており, 小児結核対策は集団的・一律的対策よりも個別的・重点的対策に比重を移していくべきである。そこで, 大阪地区では「医療機関・保健所の合同症例検討会」を2003年度より連続4年間実施している。その年度に登録された小児結核患者症例を, 医療機関と保健所が一堂に会して検討することにより, その予防, 治療支援, 患者背景などに関して共通の理解を得, また共同していく基盤を確立し, 実際に小児結核患者の治療支援や発生予防に活かしてきた。4年間で参加者の人数は増加傾向にあり, 医師・保健師・看護師のみならず多職種の参加が見られてきた。全国的に見ると, 小児結核患者の発生は, 都市部に多く見られており, この検討会方式の対策は, 今後全国の都市部における結核対策への拡大が可能であり今後の行政施策に大きく貢献できる可能性がある。
著者
大森 正子 和田 雅子 西井 研治 中園 智昭 増山 英則 吉山 崇 稲葉 恵子 伊藤 邦彦 内村 和広 三枝 美穂子 御手洗 聡 木村 もりよ 下内 昭
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.647-658, 2002-10-15
参考文献数
15
被引用文献数
4

検診成績を利用し中高年齢者の結核発病予防の方法論と実行可能性を検討した。対象は50~79歳男女, 胸部X線で1年以上変化のない陳旧性結核に合致する陰影があった者 (440名) のうち, 住所の提供, 研究への同意, 事前の諸検査で問題のなかった29名となった。治験対象者を無作為に6カ月のINH服薬群 (14名), 経過観察のみの非服薬群 (15名) に分けた。服薬中副反応を訴えた者は6名 (42.9%), うち治療開始後2週以内に胃腸症状を訴えた2名 (14.3%) は肝酵素値に異常はみられなかったが服薬を中止した。副反応を訴えなかった者でも2名に肝酵素の上昇が認められた。その異常は服薬開始2カ月後から出現し, 長く継続した者でも服薬終了後には正常値に戻った。これまで追跡不能は3名, 1名は服薬終了時X線上活動性結核と診断, 1名は8カ月目に乳癌が再発, 1名は2.5年目に肺腺癌と診断。この他4例で陰影拡大が疑われたが結核発病は確認されていない。副反応, 偶然の事故等がかなり高率であり, 本事業を集団的に推進するには, 副作用の頻度とそれを上回る有効性を確認するより大規模な調査が必要である。それまでは個別の臨床ベースでの実施で対応し, 高齢者対策としては早期発見・治療に重点を置くべきだろう。
著者
中田 信昭 祷 史明 中村 夫左央 針原 重義 平山 幸雄 鈴木 陽 下内 昭 高鳥毛 敏雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.455-458, 2007-05-15
被引用文献数
3

〔目的〕大阪社会医療センターは結核高罹患地域であるあいりん地域に位置し,日雇い労働者や野宿生活者を主な対象とする無料低額診療施設である。地域にある当院の外来受診者について結核検診を行い,結核有病状況を明らかにし,地域における役割を検討することを目的とした。〔対象と方法〕平成17年3月31日から18年6月15日に整形外科単科外来初診患者1,673人中検診同意者(検診受検群)538人(男性523人,女性15人)について胸部エックス線検査を行った。また同時期の内科受診者2,000人(内科受診群)を対照として分析した。〔結果〕検診受検群については要医療率2.4%(13人)であった。一方,内科受診群2,000人については要医療率4.3%(85人)であった。〔結論〕検診受検群の結核患者発見率2.4%は,平成16年度のあいりん地域での結核検診における患者発見率1.1~1 .8%とほぼ同水準,対照群のそれは約2倍高率であった。これらの結果から,結核蔓延地域にある当院には,受診者に対し結核検診をルーチン業務とするとともに,発見患者に対する精密検査および外来診療を行えるよう基盤整備を行い,行政,専門機関の支援を得て,この地域の結核対策に取り組んでいく必要があると考えられた。
著者
中川 環 下内 昭
出版者
日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.765-769, 2007-10-15
被引用文献数
6
著者
下内昭
出版者
日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.863-880[含 英語文要旨], 2007-11
被引用文献数
1