著者
澤井 豊光 吉岡 寿麻子 松尾 信子 須山 尚史 河野 茂
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.193-196, 2014-03-25 (Released:2016-10-29)

背景.V字型の魚骨による気管支異物のため摘出に難渋した症例を経験した.症例.75歳,男性.咽喉頭部違和感,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診し,胸部CTにて左主気管支の気管支異物を指摘され当科紹介となった.6週間前に鯛のお吸い物を食べた際に咳き込んだというエピソードがあった.同日,気管支鏡検査を行ったところ,左主気管支にV字型の魚骨を認めた(長辺2.5cm,短辺1.5cm).V字型魚骨の短辺の方を鰐口鉗子で把持,牽引したが,V字型の片方は左主気管支内腔より長かったため気管支壁に支え摘出は困難であった.次にV字型魚骨の長辺の方を鰐口鉗子で把持,牽引したところ,気管支壁に支えることなく魚骨を摘出し得た.結論.単針様の魚骨であれば摘出は比較的容易であるが,形状がV字型の場合,その角度が広く,径が長いほど軟性気管支鏡での摘出は困難となり,硬性気管支鏡や外科手術まで考慮する必要がある.
著者
岩泉 正和 三浦 真弘 片桐 智之 吉岡 寿 大池 航史 杉本 博之
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.162-169, 2022-06-01 (Released:2022-07-20)
参考文献数
30

抵抗性採種園産種苗のマツノザイセンチュウ抵抗性を効果的に高める上では,これまで指摘されてきた採種園の性能に関わる諸要因を同時に評価し,その相対的な影響度を把握することが重要である。本研究では,造成年や構成系統の異なる抵抗性アカマツの6採種園を対象に,既往の抵抗性の評価値(抵抗性ランキング)の異なる22系統64母樹から得られた実生苗の抵抗性評価を行った。母樹ごとに実生家系を2カ年で育成し,線虫の接種試験を実施した結果,実生家系の健全個体率(健全率)は,多くの採種園で母樹系統の抵抗性ランキングと高い正の相関が認められた。一部の実生家系についてSSRマーカーによるDNA親子解析を行い,花粉親構成を評価した結果,特に10年生未満の園齢で採種された実生家系では園外花粉親率が高く,健全率は低かった。一般化線形混合モデルの結果では,母樹系統や花粉親の抵抗性ランキング,園齢や園内花粉親率の増加による健全率への正の効果が認められた。これらのことから抵抗性種苗の抵抗性を高める上では,①遺伝的性能の高い系統への構成木の改植,②園齢15年生以上での採種または採種園の部分的な順次更新,等の方策が重要と考えられた。
著者
森貞 和仁 大野 泰之 澤田 智志 片倉 正行 吉岡 寿 中岡 圭一 高宮 立身
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.P1056, 2004

二酸化炭素吸収源としての森林の役割を正確に評価するには森林が成立している土壌炭素量および森林伐採など土地利用変化に伴うその変化量を精度良く評価することが必要である。土壌の分析・測定値はある一定の広がりをもつ土壌の代表値であるので,森林伐採が表層土の炭素貯留量に与える影響を精度良く推定するには土壌炭素量の空間的変動に基づいた多点サンプリングを行う必要がある。褐色森林土3カ所(北海道,秋田,愛媛),黒色土3カ所(長野,広島,大分)調査地において森林伐採前と伐採直後に3mないし4m間隔で規則的に100点程度のサンプリングを行い,鉱質土壌深さ0-30cmの表層土における炭素量の空間的変動とその変化率から目標精度に見合うサンプリング方法を検討した。その結果,表層土に含まれる土壌炭素量は土壌の種類によって違い,黒色土の炭素量は褐色森林土より明らかに多かった。空間的変動の指標として炭素量の変動係数を比較すると,褐色森林土ではどの調査地も約20%以上で試料採取点による変動が大きかったが,黒色土では大分以外の2調査地では約10%と比較的均質であった。伐採後の変動係数はどの調査地も伐採前と同じレベルであった。伐採に伴う変化率は平均で-7%(秋田)から+17%(愛媛)と調査地によって違う傾向を示したが,どの調査地でも採取地点による変動が大きかった。伐採前の調査結果から目標精度(信頼度95%,誤差5%)で表層土の炭素量を推定するには少なくとも褐色森林土で60点,黒色土で20点必要とみられた。伐採前後で土壌炭素量の変動係数に大きな変化がみられない。上記の点数を継続サンプリング,分析することで伐採後の変化を追跡することが可能と考えられるが,調査を継続して更に検討する必要がある。