著者
澤井 豊光 吉岡 寿麻子 松尾 信子 須山 尚史 河野 茂
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.193-196, 2014-03-25 (Released:2016-10-29)

背景.V字型の魚骨による気管支異物のため摘出に難渋した症例を経験した.症例.75歳,男性.咽喉頭部違和感,咳嗽,血痰を主訴に近医を受診し,胸部CTにて左主気管支の気管支異物を指摘され当科紹介となった.6週間前に鯛のお吸い物を食べた際に咳き込んだというエピソードがあった.同日,気管支鏡検査を行ったところ,左主気管支にV字型の魚骨を認めた(長辺2.5cm,短辺1.5cm).V字型魚骨の短辺の方を鰐口鉗子で把持,牽引したが,V字型の片方は左主気管支内腔より長かったため気管支壁に支え摘出は困難であった.次にV字型魚骨の長辺の方を鰐口鉗子で把持,牽引したところ,気管支壁に支えることなく魚骨を摘出し得た.結論.単針様の魚骨であれば摘出は比較的容易であるが,形状がV字型の場合,その角度が広く,径が長いほど軟性気管支鏡での摘出は困難となり,硬性気管支鏡や外科手術まで考慮する必要がある.
著者
真崎 美矢子 道津 安正 増山 泰治 山下 京子 古賀 宏延 須山 尚史 河野 茂 山口 恵三 広田 正毅 斉藤 厚 原 耕平
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.709-713, 1987-09-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
14

マクロライド系抗生剤であるEM, JM, TE-031, RKM, Ru-28965の5薬剤について, ヒト多形核白血球内への移行性をradioisotope 14Cをラベルした薬剤を用いて測定した。37℃培養下での移行率 (細胞内/外濃度比) は, EM; 6.6倍, JM;15.5倍, TE-031;16.4倍, RKM;30.5倍.Ru-28965;21.9倍と.いずれも高値を示した。ホルマリン処理好中球および低温培養下での移行率は5薬剤ともに著明に低下した。また, pHが酸性になるほど移行率は低下し, pH依存性が示唆された。細胞のエネルギー代謝阻害剤であるフッ化カリウムおよびシアン化ナトリウムを添加すると, それぞれ2~47%, 4~38%程度の移行率の低下が認められた。またヌクレオシドの一種であるアデノシンの添加ではEM以外の4薬剤で8~17%の移行率の低下がみられた。細胞内へ移行した5薬剤は, 細胞外の薬剤を除去するといずれも急速に細胞外へ流出し, 5分後には30%以下に低下した。今回我々が用いた5種類のマクロライド系抗生物質は, いずれも良好な細胞内移行性を示し, これらの細胞内への移行には能動輸送が関与していることが示唆された。
著者
増本 英男 須山 尚史 荒木 潤 浅井 貞宏 南 寛行 池野 雄二
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.247-252, 1991-04-20
被引用文献数
18

患者は63歳,男性.約10年前より肺結核腫として観察されていた陰影が急速に増大してきたため入院となった.右上葉S^2を中心とする巨大な腫瘤で,右肺全摘出術が施行された.腫瘍は卵巣などにみられる嚢胞腺癌に類似した形態をとっていた.この興味ある腫瘍の組織発生に関しては,気管支腺よりも気管支表面上皮の杯細胞由来が示唆された.
著者
福田 実 鈴木 伸 須山 尚史
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.59-63, 2011-06-25

長崎港に入港する国際観光船の乗客数は増加傾向にあり、2009年には約4万人の外国人観光客が上陸した。これに伴って外国人患者も増加している。74歳の男性は数年前より冠動脈疾患•高血圧あったが、特に問題なく旅行を続けていた。国際観光船で旅行中、咳と不快感により夜間に目覚め息切れが出現するようになっていた。第1病日午前2時に強い呼吸困難が出現し船内のメディカルセンターを受診。長崎へ寄港した際、当院へ救急搬送された。重症呼吸不全であり、原因は肺癌・癌性胸膜炎・肺炎・間質性肺炎だった。人工呼吸管理・ステロイド治療などにより若干呼吸状態は改善された。米国よりメディカルチームに来院してもらい、人工呼吸管理を継続しながらチャーター機で移送した。国際観光船入港の増加により重症外国人患者を診療する機会も増加する。英語、中国語、韓国語など接する機会の多い外国語学習、プロの医学通訳育成が必要である。