著者
石森 加奈 高桑 由希子 大慈彌 久絵 吉岡 拓也 前田 聡彦 大岡 正道 山田 秀裕 尾崎 承一
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.418a-418a, 2013

背景:従来Lupus腸炎と言われてきた中でLupus mesenteric vasculitis (LMV)は,悪化すると腹膜刺激症状を呈して腸壊死に至ることがある重篤な合併症である.腹部CTで腸管壁の全周性肥厚と腹水貯留を認めることで診断される.腸壊死に至る症例はSLE活動性と相関することが多く,治療はステロイドパルスとシクロスフォスファミド間歇静注療法を必要とする.今回,LMV様所見を合併した3症例を経験したので報告する.症例1:47歳女性.主訴は腹痛と嘔吐.腹膜刺激症状と,腹部CTで典型的なLMV様所見を呈し,ステロイドパルス,プレドニゾロン(PSL)50 mg/日とアザチオプリン併用にて寛解.症例2:40歳女性.主訴は軟便,腹痛,嘔吐.腹部CTで典型的なLMV様所見を呈し,PSL 50 mg/日にて寛解.症例3:39歳女性.主訴は腹痛と下痢.腹膜刺激症状と腹部CTで典型的なLMV様所見を呈し,ステロイドパルス,PSL 50 mg/日とタクロリムス併用にて寛解.3症例とも診断時にSLE disease activity index (SLEDAI)の上昇は認めなかった.結語:3症例ともLMVと矛盾しない所見を呈したが,PSL反応性良好であり,重篤な経過を辿らなかった.LMV様の所見を呈しても,SLEDAIが上昇していない症例では,比較的予後良好であることが示唆された.<br>
著者
木下 慶介 吉岡 拓也 中谷 智広
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.301-310, 2011-04-01 (Released:2011-04-01)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

室内で収録された音声信号には,音源からマイクロホンへ直接到達する直接音に加えて,壁や床などに反射して遅れてマイクロホンへ到達する残響が含まれている.この残響は収音した音声信号の明瞭性を低下させるとともに,コンピュータによる自動音声認識をはじめとする多くの音響信号処理アプリケーションの性能低下を招く原因となる.このため,収録音からの残響の除去は,古くから,実環境音響信号処理の実現に向けた重要課題とされてきた.その中でも特に重要度の高い課題である,収録条件が与えられていない任意の条件で収録された音声に含まれる残響の除去(=ブラインド残響除去) の問題は,解決の困難なものとされており,多くの提案がなされてきた.本稿では,音声のブラインド残響除去の近年の幾つかの研究成果を挙げ,それらの特徴をまとめる.
著者
中谷 智広 吉岡 拓也 木下 慶介 三好 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.294-304, 2009-05-01
被引用文献数
3

残響を伴って収音された音響信号に対する残響除去法の一つとして,音源信号の時変性に基づく方法を紹介し,その性質を数理的に分析する.このアプローチでは,音源信号を時変ガウス過程でモデル化するとともに室内伝達特性を多チャネル自己回帰過程でモデル化し,それらに基づき定まるゆう度関数を最大にするモデルパラメータを求めることで残響除去を実現する.本アプローチにより,比較的短い観測信号だけからでも良好な残響除去結果が得られることが,実験により確認されている.本論文では,特に,ゆう度関数を最大化する解の振舞いについて分析する.まず,解のあいまい性が適切に排除されている条件のもとで,ゆう度関数の期待値を最大化する解は厳密に正しい解に一致することを示す.また,観測信号の実現値に基づきゆう度関数を最大化する解は,観測信号が長くなるにつれて正しい解に近づくと予想されることを示す.更に,比較的短い観測信号に対しても,観測信号のレベルの時変性を考慮して最適化を行うことで,推定誤差の影響を緩和できることを考察する.