著者
岡本 学 三好 正人 片岡 章俊 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.403, pp.25-30, 2005-11-10
参考文献数
7
被引用文献数
1

耳周辺軟骨に可聴帯域信号で振幅変調をした超音波振動を加えると, 可聴帯域信号を受聴することができる.著者らはこれまでこの現象を利用した超音波ヘッドホンの検討を行ってきている.超音波ヘッドホンは超音波振動の伝達過程で, 非線型効果により可聴振動が発生することにより受聴できるが, 低域の振動を効率よく再生することが困難である.一方通常の可聴帯域振動で直接頭部等を加振する骨伝導イヤホンは高域を振動させる場合, 振動素子から空気中に音波が放射されやすい.本稿では耳穴を塞がず外部に音漏れが少ない頭部接触型のヘッドホンを実現するために超音波ヘッドホンと可聴骨伝導イヤホン素子を組み合わせたヘッドホンを提案し, その構成法, 特性について報告する.
著者
大竹 稔 齋藤 毅 三好 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.349, pp.79-83, 2013-12-13

本稿では,愛知県三河地方から石川県への転居者,三河弁話者,石川方言話者を対象に,転居による方言の音響的変化を調査した.話者による意図的な制御が困難とされる母音(母音ホルマント周波数F1,F2とMFCC),鼻濁音(鼻音ホルマント周波数)の音響特徴を調査した.分析の結果,転居者の三河弁の母音ホルマント周波数F1,F2,MFCC,鼻音ホルマント周波数は,石川方言に近い傾向がみられた.これらは,転居者の三河弁の調音が石川方言の影響を受けて変化している可能性があることを示唆している.
著者
岡本 学 三好 正人 渡辺 好章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J86-A, no.8, pp.817-823, 2003-08-01

可聴音で振幅変調した超音波振動を耳珠等の耳周辺軟骨へ加えると,その可聴音が聴取される.この現象を用いるヘッドホンシステムについて,その音質(音圧・周波数特性)と可聴音伝達経路の検討を行った.ラウドネスバランスより推定された可聴音特性は被験者の外耳道内に発生する可聴音の特性によく一致しており,3~4 kHz以下の帯域においてはほぼ6~8 dB/oct.の傾きをもつ.耳珠から外耳道内へ至る超音波振動の伝達過程で,音響的非線形により復調される可聴音波を主に知覚していると思われる.
著者
中谷 智広 吉岡 拓也 木下 慶介 三好 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.294-304, 2009-05-01
被引用文献数
3

残響を伴って収音された音響信号に対する残響除去法の一つとして,音源信号の時変性に基づく方法を紹介し,その性質を数理的に分析する.このアプローチでは,音源信号を時変ガウス過程でモデル化するとともに室内伝達特性を多チャネル自己回帰過程でモデル化し,それらに基づき定まるゆう度関数を最大にするモデルパラメータを求めることで残響除去を実現する.本アプローチにより,比較的短い観測信号だけからでも良好な残響除去結果が得られることが,実験により確認されている.本論文では,特に,ゆう度関数を最大化する解の振舞いについて分析する.まず,解のあいまい性が適切に排除されている条件のもとで,ゆう度関数の期待値を最大化する解は厳密に正しい解に一致することを示す.また,観測信号の実現値に基づきゆう度関数を最大化する解は,観測信号が長くなるにつれて正しい解に近づくと予想されることを示す.更に,比較的短い観測信号に対しても,観測信号のレベルの時変性を考慮して最適化を行うことで,推定誤差の影響を緩和できることを考察する.