著者
吉川 勝秀 本永 良樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.371-376, 2006-12-05 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

首都圏での自然と共生した流域圏・都市の再生に資することを目的として, 水と緑の環境インフラの変遷および現状を把握し, 今後の都市計画, 国土計画における活用について考察した. 首都圏における環境インフラはこの百年間で大きく喪失したが, 今なおまとまった緑や都市の骨格となりうる河川・水路が残されていることを示した. そして, 首都圏の水と緑の環境インフラの保全・再生では, これまでは取り上げられていない中川・綾瀬川流域の河川網や水田を例に, それらが保全・再生すべき自然環境として認識されてよいことを示した.
著者
古川 厳水 長坂 丈巨 吉川 勝秀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
建設マネジメント研究論文集
巻号頁・発行日
no.15, pp.41-50, 2008

千葉県の北西部に位置する印旛沼は, 利根川の洪水を"外水 (そとみず)"と恐れ, "内水 (うちみず)"印旛沼流域の洪水に長い間悩まされていた. 印旛沼周辺の水害は, 印旛沼の堤防と排水機場によって軽減されたが, 未だその治水安全度は低い. この流域は, 既成市街地の拡大や千葉ニュータウンの開発が進み, 更には成田空港と連絡する北千葉道路の建設が予定されるなど, 都市化の波が押し寄せている. 本研究は, 今までの総合治水に加え, 印旛沼を含む都市化流域の治水対策について検討を実施し, 治水施設の機能向上と流域対策について定量的な評価を行い, 印旛沼の持つ潜在的な遊水機能を生かした治水の方策を考察した. 具体的には,(1) 印旛沼が有する湛水容量に着目したシミュレーションモデルによる現況の評価,(2) 治水の基本的な対応策,(2) 印旛沼流域での実証的検討から沼を含めた総合的かつ経済的な治水対策の提案を行った.
著者
吉川 勝秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.2, pp.62-71, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
12

流域の都市化が著しいアジア等の河川流域では,洪水による被害額も増大しており,治水対策が求められている.本論文では,治水の本質である土地利用の誘導・規制を含む総合的な治水対策について,低平地緩流河川流域である日本の中川・綾瀬川流域およびタイ国バンコク首都圏流域を取り上げ,都市計画的に考察した.この2つの流域での実践というトータルな評価(事後評価)により,今後急激な都市化を経験する他のアジア諸国における土地利用の誘導・規制を含む総合的な治水対策の有効性を示した.