- 著者
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吉川 朗子
- 出版者
- 神戸市外国語大学研究会
- 雑誌
- 神戸外大論叢 (ISSN:02897954)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.3, pp.87-100, 2002-09
1803年8月14日、出産したばかりのメアリーを置いて、ワーズワス兄妹はコールリッジと共にスコットランドに向けて旅立つ。コールリッジは途中で体調不良のため行動を別にするが、ワーズワス兄妹は9月25日に帰宅するまで、全43日間663マイルにも及ぶ旅をやり遂げる。そしてドロシーは、その思い出を兄ウィリアムの詩を織り交ぜながら一冊の旅行記Recollections of a tour made in Scotland, A.D.1803にまとめる。以下の論考では、この旅行記をドロシーとウィリアムの共同作品と捉え、詩と散文が互いに相補いながらどのような作品を作り上げているか、そしてこの旅行が二人の兄妹にとってどのような意味を持つものだったのかを考えてみたい。