- 著者
-
伊藤 光洋
伊藤 良剛
吉川 秋利
大竹 正一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会学術総会抄録集 第58回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
- 巻号頁・発行日
- pp.249, 2009 (Released:2010-03-19)
〈緒言〉整形外科の手術の際にC アーム型の外科用透視
装置が広く使用されているが,当院では2009年4月に本邦
初となる最新のO-arm を導入した。従来のC アームと同
様に透視が可能であるが,3D 画像を作成する際の収集
角度は,従来のC アームでは190°であるのに対し,O-arm
では360°である。この収集角度の差によって,3D 画像
の精度,画質の向上が期待されている。今回はこの最新の
装置を使用した手術におけるスタッフの術中の被曝線量を
測定したので報告する。
〈使用機器〉O-arm : BI―700―00020(メドトロニック
社),半導体式電子ポケット線量計:PDM―112(アロカ株
式会社),プロテクター:MSA―25/鉛当量:0.25mmPb
(株式会社マエダ),X 線防護衝立:H―22HKF/鉛当
量:1.0mmPb(クラレトレーディング株式会社)
〈方法〉整形外科の術中にO-arm を使用した3症例で,
スタッフの被曝線量を測定した。半導体式電子ポケット線
量計を,整形外科医のプロテクターの内側と外側,放射線
技師のプロテクターの内側と外側,麻酔科医の前に立てた
X 線防護衝立の内側と外側に装着して測定した。
〈撮影条件〉3D 撮影:120kV,25~32mA,100~128mAs
(初期設定値),透視:62~90kV,5.0~6.6mA(AEC),
撮影中心部位からの距離は整形外科医:1m,放射線技
師:2m,麻酔科医:2m とした。
〈結果〉被曝線量が高かったのは,症例1では整形外科医
のプロテクターの外側で27マイクロシーベルト,症例2で
は麻酔科医のX 線防護衝立の外側で26マイクロシーベル
ト,症例3では整形外科医のプロテクターの外側で14マイ
クロシーベルトであった。
〈考察〉O-arm の使用頻度を月8回として計算すると,
年間の整形外科医の被曝線量は0.027×8×12=約2.6ミリ
シーベルトとなる。許容される年間の職業被曝線量である
50ミリシーベルトの5.2%と低い値であった。