著者
磯本 征雄 野崎 浩成 吉根 勝美 長谷川 聖美 石井 直宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.54-64, 1996-08-15
被引用文献数
12

本論文では, 感性情報を伴う情報検索に印象語のキーワードが有用であることに注目して, シソーラス中での印象語の類義語関係の強さを定量的に決める手法を議論する。一般に, 美術作品の批評や鑑賞は情緒的・主観的・感覚的であり, この領域の情報検索では, キーワードとして印象語が多用される。ところが, 印象語には複雑で曖昧な多数の類義語があり, 情報検索にはファジィ・シソーラスによる統制が不可欠である。本論文では, 印象語を一群の刺激事象が持つ属性のファジィ集合とみなし, 曖昧な類義語関係をメンバーシップ関数や類義語係数として実験的に定量化する手法を提案する。この手法の特徴は, 複数被験者に一連の刺激事象を提示して印象語に関連した反応データを収集し, これらの解析を通して印象語のファジィ類義語関係を算出することにある。この結果は, 感性情報検索の印象語シソーラスとして, ファジィ・データベースの機能に組み入れて活用できる。