著者
津森 伸一 磯本 征雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.106, pp.47-51, 2006-06-10
参考文献数
3

テストは、学習者の理解状況を把握する手段として、学校等の対面授業だけでなくCAIやe-Learning等の学習援用システムにおいても広く活用されている。一般にテストは、高得点であるほど成績がよいと解釈されて合否決定や順位決定に使われているが、点数の数値から理解状況の意味を読み取るには曖昧な点が多い。しかし、CAIやe-Learning等の学習援用システムにおいては、教師不在の状況下でテストが実施されることも多いため、採点評価結果は学習者側にも明確に解釈されるものであることが望まれる。そこで筆者らは、テストの採点評価を知識の"広さ"及び"深さ"の観点から行う方式の実現を試みている。本稿では、穴埋め問題を対象とした採点評価方式の提案と、初級システムアドミニストレータ試験対策用システムへの適用について議論する。
著者
野崎 浩成 横山 詔一 磯本 征雄 米田 純子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.141-149, 1996-12-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3

日本語教育で教材に使用される漢字の選定および提示順序は漢字頻度調査に基づいて決定されることが多い.そこで,本研究では効率的な漢字頻度調査を行う手法を確立するために,新聞記事フルテキストデータベース中に含まれる漢字の使用頻度を調査するシステムを開発した.このシステムを用いて,新聞朝夕刊1ヶ年分の約11万件の記事を対象に大規模な調査を実施し,漢字4,476字および平仮名83字,片仮名86字についての文字使用頻度表を作成した.その結果,1)漢字使用頻度上位1,000字が全使用率のおよそ95%を占めること,2)上位1,600字で全体のほぼ99%に達し,残りの約3,000字は1%程度を占めるに過ぎないこと,3)時代的変化に着目すると,漢字使用頻度は,'66年と'93年の新聞間で相関が著しく高いこと,が示された.以上の結果は新聞における漢字の使用実態を的確に反映するものであり,日本語教育のみならず,漢字教育や言語情報処理一般に役立つ有用な知見が得られた.
著者
溝口 理一郎 芥子 育雄 磯本征雄 角所 収
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.404-412, 1984-05-15

近年 マン・マシンインタフェースの問題が盛んに論じられている.本論文では 筆者らによって作成された音声データベース「SPEECH-DB」を例にとって実現した知的マン・マシンインタフェースについて述べている.本インタフェースは 日本語による検索要求を受けつけるJCSサブシステム エラーからの回復や利用者の疑間に答えるPSSサブシステムおよびシステム全体の制御の流れを管理するMONITORサブシステムの三つのサブシステムから成っている.知的マン・マシンインタフェースは 情報処理システムに関する専門知識を用いることにより問題解決を行って 利用者に対して知的な援助を提供するものであり ある種のエキスパートシステムとみなすことができる.そこで本インタフェースの作成においては 汎用DBMS INQとその親言語であるFORTRANによりプロタクションシステムを実現した後 それに種々の知識を埋め込むという方法を採用した.SPEECH-DBと同一のDBMS INQを用いることにより 柔軟性 拡張性に富んだシステム構成が実現されたわれわれのプロダクションシステムは 前向き推論と後向き推論の二つの推論モードとバックトラック機能をもっている.さらに 任意のFORTRANプログラムを呼ぶことができるため 既存のソフトウェアとの結合が容易であり AI的手法の現実的問題への応用に適したものとなっている.
著者
磯本 征雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.237, pp.37-42, 2011-10-08
参考文献数
2

近年のe-Learning技術には,様々な異なるタイプの学習者にも個々の事情に合わせて、同時並列に個別学習支援する能力がある.筆者は,このe-Learningの強力な能力を活用してマルチメディア学習教材を用いて多角的教授戦略を実践できる個別学習支援モデルを設計し,その個別学習支援の事例研究として物理学・数学・情報科学にまたがる複合領域のe-Learning用学習教材"宇宙旅行シミュレーション"を開発した.しかし,このe-Learning学習教材は複雑で高度な内容であるため,学習者には知識習得の学習過程において系統的な学習支援による誘導が必要であった.こうした複雑な概念の系統的な学習過程に対する学習支援方法を改善し,個別学習におけるこの宇宙旅行シミュレーションの困難の克服を試みた.本稿では,知識の構造的理解を促すe-Learningの仕組みについて研究結果を議論する.
著者
磯本 征雄 森田 一興
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.13, no.9, pp.593-598, 1972-09-15

Generally, it is very difficult to discuss about the reliability of library subprograms made for the scientific calculation. Almost all subprograms are written in the FORTRAN language. But, at present, many people use the library subprograms which were made by the other people. Therefore, it has got necessary to know about not only the efficiency, but also the accuracy and the reliability of the subprograms. In this paper, we show one of the methods to check the reliability of the subprogram for linear equations. Here, it is the main purpose to show the method to check the behavior of the subprogram around the ill-conditional problems. In this method, it is possible to check one of the reliability of the subprogram of linear equations in a certain norm, disregarding the details of the algorithm.
著者
磯本 征雄 宮原 一弘 中野 宇宙 伊藤 敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.599-609, 2000-06-25
被引用文献数
7

本論文では, ニュートン力学の学習を支援する宇宙旅行シミュレーション教材の構成と教授方略について議論する.ニュートン力学は, 物理学の中でも最も形式の整った理論の一つである.そして, 宇宙旅行は, 物理的概念の定義が明確であり, ストーリーが論理的な上に成功の是非も簡単に判断できる.こうした理由で, 宇宙旅行シミュレーションは, ニュートン力学演習のための個別学習用教材として適切である.本論文のシミュレーションは, 運動方程式, エネルギー保存則, 角運動量保存則など, ニュートン力学の基礎知識を学んだ学生のために, 更に発展した学習のための演習用教材として設計されている.学習者は, 的当てゲーム, 人工衛星の打ち上げ, 人工衛星のドッキング, 月旅行, 火星旅行といったシナリオの中で, ニュートン力学の応用場面を体験できる.この宇宙旅行シミュレーションを使って, 学習者は, 抽象的なニュートン力学と具体的な宇宙旅行の関係を学ぶことができる.
著者
今枝 奈保美 磯本 征雄 長谷川 信 後藤 千穂 小嶋 汐美 垣内 久美子 細野 覚代 釜野 桜子 栗原 綾子 三上 春夫 宮川 尚子 内藤 真理子 中畑 典子 南里 妃名子 岡本 尚子 尾崎 悦子 矢口 友理 遠藤 香 佐藤 信子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

目的:食事記録調査の効率化と精度向上に資するために、食事記録調査の信頼性に影響する諸因子の関連を見直して,食事記録調査支援ツールとしてコンピュータに実装すること。方法:12日間食事記録調査(4季節不連続3日間)の手順をプロセス評価した.結果:コード化標準マニュアル、e-ラーニング、メーリングリスト、入力過誤検索データベース、コード化困難事例照会システム、地区スタッフからのフィードバックアンケートを開発した.熟練した栄養士に備わっている暗黙知を、いくつかのコンピュータ支援ツールとして開発できた.
著者
磯本 征雄 野崎 浩成 吉根 勝美 長谷川 聖美 石井 直宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.54-64, 1996-08-15
被引用文献数
12

本論文では, 感性情報を伴う情報検索に印象語のキーワードが有用であることに注目して, シソーラス中での印象語の類義語関係の強さを定量的に決める手法を議論する。一般に, 美術作品の批評や鑑賞は情緒的・主観的・感覚的であり, この領域の情報検索では, キーワードとして印象語が多用される。ところが, 印象語には複雑で曖昧な多数の類義語があり, 情報検索にはファジィ・シソーラスによる統制が不可欠である。本論文では, 印象語を一群の刺激事象が持つ属性のファジィ集合とみなし, 曖昧な類義語関係をメンバーシップ関数や類義語係数として実験的に定量化する手法を提案する。この手法の特徴は, 複数被験者に一連の刺激事象を提示して印象語に関連した反応データを収集し, これらの解析を通して印象語のファジィ類義語関係を算出することにある。この結果は, 感性情報検索の印象語シソーラスとして, ファジィ・データベースの機能に組み入れて活用できる。
著者
津森 伸一 伊藤 敏 磯本 征雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.581, pp.19-24, 2006-01-21
被引用文献数
5

資格試験や検定試験の受験対策として過去問題等を用いた問題演習が実施されている。しかし、多くの資格試験、検定試験で採用されている多肢選択式問題による採点方法は偶然の正解を考慮せず単純に素点の合計を求めるものであり、学生が自身の理解状況を把握するための手段としてこの評価方法をそのまま適用することには問題が残る。そこで筆者らは、多肢選択式問題を用いて、e-Learningによる学習環境下において、学生が特に自分の学力を適切に把握することを目的とした学力評価方法を検討している。現在、既に提案した一手法と情報処理技術者試験の過去問題をCourse Management Systemの1つであるMoodleに実装し試験運用を行っている。本稿では、このシステムの概要とその活用の実態を報告する。