- 著者
-
吉田 之範
- 出版者
- 日本小児耳鼻咽喉科学会
- 雑誌
- 小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.3, pp.196-201, 2014 (Released:2015-03-13)
- 参考文献数
- 11
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease : GERD)は反復性喘鳴をきたす疾患として重要である。しかし,どのような喘鳴児で GERD の関与を疑うか明確ではない。また,治療では H2 受容体拮抗薬(H2RAs)とプロトンポンプ阻害薬(PPIs)の使用について議論の余地がある。従って,反復性喘鳴児での GERD 診療においては,①どのような反復性喘鳴児で GERD の関与を疑えばよいか,②喘鳴をきたす GERD の薬物治療は? という 2 つの課題があげられる。 そこで我々は,通常の治療を行っても喘鳴を反復する児に24時間 pH モニタリングを行った。その結果,胃酸の逆流は臥位よりも立位で多く,そのような児は日中に呼吸器症状が多いことが分かった。また,そのような児へファモチジンを投与したところ,症状は改善した。 これらのことから,夜間よりも日中に呼吸器症状をきたしやすい児で GERD の関与を疑い,また PPIs の小児の至適容量が検討されていないことも併せて考えると,呼吸器症状をきたす GERD 治療は H2RAs から開始することでよいと考えられる。