- 著者
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吉田 渡
藤城 有美子
- 出版者
- 日本心身健康科学会
- 雑誌
- 心身健康科学 (ISSN:18826881)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.27-34, 2012-02-10 (Released:2012-02-22)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
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ポリオ体験者の装具受容れ意識と現在のQOLに対する装具の貢献度を,装具の導入状況別に明らかにすることを目的として,507人を対象に質問紙調査を実施した (回収率58.8%).対象者を装具の検討なし群,未使用群,継続群,再開群,中断群に分類し,受容れ意識については継続・再開・中断群で,装具貢献度については継続・再開群で比較した.受容れ意識では,「装具導入の阻害要因」は全群で同程度に強く意識されていたが,「装具導入の促進要因」,「装具使用のメリット」は継続群で高く,特に心理的側面での差が見られた.主観的な装具貢献度は,継続群で高かった.使用継続には,生活の中で装具の利用価値を実感する必要があること,再開群ではそのメリットを感じないまま必要に迫られて装具使用を再開し,適切な受容れがなされていない可能性があることが示唆された.ポリオ体験者のwell-beingのためには,心理社会的側面にも配慮した装具の提供を行うことが望まれる.