著者
吉野 樹
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.193-196, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

我が国における義肢装具の黎明期を支えるなど、奥村済世館の功績は非常に大きい。しかし、その命名者については、川村一郎の文献に「明治36 年に当時の陸軍第4 師団軍医部長の命名により「済世館」を公稱する。」との記述があるものの、その詳しい人物像については当該の文献にも他の先行研究にも記載がなかった。筆者はこの点に注目し、命名者の氏名や経歴などの詳しい人物像を明らかにすることを目的に調査した。文献調査の結果、命名者は谷口謙であろうことが導かれた。谷口についても調査し、記載した。同館に関する情報の混乱を整理しなければならないことが今後の課題であり、調査を継続する必要がある。
著者
佐藤 健斗 野口 普子 三富 菜々 嶋田 岳 昆 恵介
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.118-123, 2019 (Released:2019-10-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2

臨床の場面で、脳血管障害により身体に後遺症を負った装具使用者と、義肢装具士やその他の治療に関わる様々な職種の方々との間で装具を使用する上で重視する点の違いを感じる場面が少なくない。今回は、それぞれが短下肢装具選好に際して重視する要素を確認し、違いを明らかにすることを目的とし、コンジョイント分析を用いた調査研究を行った。結果として、義肢装具士群、理学療法士群が短下肢装具を使用する目的を「歩行・立位の安定」とみて、装具選好の際に重視している一方、装具使用者群とは有意にその影響度に差異があり、装具使用者群においては装具選好にあたり必ずしも重視される要素ではない可能性が示唆された。
著者
昆 恵介 福士 幹太 辻 智悠 佐藤 健斗
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-114, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
19

本研究では国内でこれまでに流通してきた膝装具の代表的ものとして、OAファンタジー、CBブレース、アンローダーワンを取り上げ、装具の矯正力について比較し、その特徴と差異を明確にすることを目的とした。方法は膝内反変形を再現した模擬生体(ファントムモデル)に各種膝装具を装着し、装具が発生している矯正力を動作解析によって計測を行った。結果として、膝装具はいずれも変形性膝関節症患者の変形を矯正するに必要な3点支持の矯正力を発揮していないことを明らかにした。
著者
佐藤 健斗 三富 菜々 昆 恵介 春名 弘一
出版者
The Japanese Academy of Prosthetists and Orthotists
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.32-37, 2022 (Released:2022-06-01)
参考文献数
22

現在までに義肢装具領域を対象としたユーザの満足度は評価者個々の評価項目によって評価されているケースが多く、信頼性と妥当性が確認されている評価指標の利用も普及していない。本研究では、他の領域で使用されている簡便な満足度評価指標であるSystem Usability Scale(SUS)が義肢装具領域において使用可能であるか、信頼性の検討を行った。50名の義肢装具ユーザを対象に使用したSUSのスコアから、内的整合性の観点で信頼性を判断することのできるα係数およびω係数を算出した。その結果、義肢装具ユーザにおけるα係数は0.80、ω係数は0.78となり、義肢装具領域におけるSUSの十分な信頼性を確認することができた。
著者
昆 恵介 福士 幹太 辻 智悠 佐藤 健斗
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.107-114, 2021

<p>本研究では国内でこれまでに流通してきた膝装具の代表的ものとして、OAファンタジー、CBブレース、アンローダーワンを取り上げ、装具の矯正力について比較し、その特徴と差異を明確にすることを目的とした。方法は膝内反変形を再現した模擬生体(ファントムモデル)に各種膝装具を装着し、装具が発生している矯正力を動作解析によって計測を行った。結果として、膝装具はいずれも変形性膝関節症患者の変形を矯正するに必要な3点支持の矯正力を発揮していないことを明らかにした。</p>
著者
吉田 渡 小町 利治 本間 義規 唐木 瞳 藤谷 順子
出版者
公益社団法人 日本義肢装具士協会
雑誌
POアカデミージャーナル (ISSN:09198776)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.211-204, 2021 (Released:2021-03-09)
参考文献数
9

足関節背屈制限が生じている血友病患者の靴およびインソールに補正を加えたときの歩行への影響を、歩きやすさの主観評価と歩行速度、歩幅、重心移動距離を用いて評価した。2019年に実施された血友病リハビリ検診会の参加者で、靴およびインソールの補正を希望した4名を対象とした。補正後の歩きやすさの主観評価は、対象者4名すべてが歩きやすさを自覚した。補正前後で10 m歩行を比較した結果、歩行速度、歩幅の改善は認められなかった。重心移動距離は第2仙椎レベルでの左右移動量の増加が認められた。靴およびインソールに補正を加えることで、足関節の背屈可動域制限により荷重が十分に行えていなかった状態が改善される結果が示された。