著者
片桐 勇貴 竹之内 豪 山﨑 和正 畑中 憲行 古賀 智典 上田 高士 三澤 学 吉田 祐一 山崎 誠治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.233-242, 2023 (Released:2023-06-28)
参考文献数
14

大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁植込術(TAVI)を透析用シャント肢と同側の鎖骨下動脈アプローチを用いて行った4例を報告する.症例は70~79歳,左上肢に透析用シャントが作成されていた.いずれも大動脈弁置換術は髙リスク(STSスコア6.292~12.624)と考えられ,TAVIを行うこととなった.腸骨動脈の狭窄・石灰化もしくは総大腿動脈の高度石灰化のため,左鎖骨下動脈アプローチを選択した.術前大動脈弁圧較差は30.2~44.2mmHgであったが,術後3.0~5.8mmHgへと減少した.いずれの症例でも術後透析は問題なく行うことができ,シャント不全は認めなかった.透析患者では末梢血管疾患の合併が多く,大腿動脈アプローチが困難であることが少なくない.しかし,透析用シャント肢と同側の鎖骨下動脈アプローチの安全性について十分なデータは存在しない.自験例では術後透析経過に問題なく,TAVI時のアプローチサイトとして安全に使用できる可能性が示唆された.
著者
吉田 祐一郎
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 = SHITENNOJI UNIVERSITY BULLETIN (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.355-368, 2016-09-25

本研究は、日本各地に広がりをみせる子ども食堂について、地域における子どもを主体とした居場所づくりとしての機能の充実を果たすべく、子ども食堂に求められるものは何かといった骨格を示すことをねらいとしている。本稿はその初期研究として、先行文献等を用いて子ども食堂が必要とされる貧困をはじめとする社会的背景や、それに対して国が進める施策についての整理を試みるとともに、子ども食堂の開始以前から存在していたセツルメントをはじめとする類似の民間活動との比較や、子ども食堂として展開される実践事例について考察した。結論として、子ども食堂に見られる3 つの機能(「食を通した支援」「居場所」「情緒的交流」)を提示するとともに、子ども食堂に参加する子どもにとって地域社会や地域住民をつなぐ「空間」と「支援者」が必要であるという仮説の設定を行い、その検証に向けた研究課題について整理した。
著者
吉田 祐一 河村 直洋 角田 陽平 大西 惟貴 大谷 隼一 裴 有安 久野木 順一
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.984-988, 2021-07-20 (Released:2021-07-20)
参考文献数
9

45歳男性,高尿酸血症に対して入院治療中に背部痛に続いて両下肢筋力低下と痙性歩行を呈した.MRIで脊髄圧迫を呈した胸椎硬膜外腫瘤性病変はCTでは石灰化を伴っており,椎間関節発生の痛風結節が疑われた.胸椎後方除圧固定術を行い,切除標本では尿酸結晶が同定された.術後,下肢筋力は改善したが重度の痙性が遺残した.脊椎痛風結節はCTで検出されやすいため,背部痛時には精査することが望ましい.