著者
竹中 彰治 吉羽 邦彦 大島 勇人 興地 隆史
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

口腔バイオフィルムは他の生体バイオフィルムと違い、生体の切除を伴わず機械的に除去できるため、ブラッシングを主体とした機械的コントロールを原則としている。洗口液に代表される化学的コントロールは、清掃器具が届かない部位のバイオフィルムを殺菌するために有効な手段であるが、バイオフィルムは厚みの増加とともに、殺菌成分が浸透しにくくなっており短時間で有効な効果が得られにくい。本研究は、口腔健康維持のための簡便かつ効果的な新しいバイオフィルムコントロール法を開発するためにバイオフィルムの特性に注目した多方面アプローチを試みた。その結果、化学的コントロールが具備すべきいくつかの要件を見い出した。
著者
岩久 正明 福島 正義 岡本 明 子田 晃一 児玉 臨麟 吉羽 邦彦 鮎川 幸雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ウ蝕への系統的対応のためのクリニカルカリオロジーを確立することを目的として、これまでの一連の研究成果を総合的に検討するとともに臨床対応へのシステム化を図ることである。主要な結果は以下のとおりである。1.ウ蝕の各ステージにおける病態の分析・診断(1)レーザーによるウ蝕診断法ついてその有用性を明らかにした。(2)ウ蝕治療後における抗原提示細胞の局在とその動態を免疫組織化学的に検索した結果・修復処置後も長期間残存するが明らかにされた。2.感染症としてのう蝕への対応(1)ウ蝕象牙質から高頻度に検出されるPseudoramibacter alactolyticusの遺伝学的多様性が明らかにされた。(2)in vitroにおける人工的バイオフィルム形成モデルを確立し、抗菌剤効累の判定におけるその有用性を明らかにした。3.ウ蝕治療(1)Er: YAGレーザーよる歯質蒸散部の微細形態、切削効率、および歯髄反応について検討し、その臨床応用への有用性が明らかにされた。(2)象牙質・歯髄複合体の修復、再生メカニズムの解明の一環として、直接覆髄処置後ならびに歯牙移植実験モデルにおける硬組織形成過程を免疫組織化学的に観察し、この過程における非コラーゲン性タンパクの関連性を明らかにした。(3)難治性感染根管症例への対処法として、混合抗菌剤の応用を検討し、根管内貼薬の基材としてのプロヒレングリコールの有効性が認められた。4.術後の再感染予防再発予防のための抗ウ蝕性修復材に関する研究の一環として、各種フッ素徐放性修復材料による歯質の強化(耐酸性)が明らかにされ、臨床応用への有効性が示唆された。5.術後指導、定期診査、リスク評価要介護高齢者の口腔ケアのために新たに開発された口腔ブラシのプラーク除去効果と臨床応用への有用性が示唆された。
著者
吉羽 邦彦 吉羽 永子 細矢 明宏
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

象牙質・歯髄複合体の修復・再生過程における歯髄組織幹細胞/前駆細胞の動態と象牙芽細胞への分化機構を解明する目的で, 直接覆髄処置, レーザー照射, あるいは歯の再植, 歯髄組織の移植を行い, その後の硬組織形成過程について免疫組織化学的に観察した。その結果, 歯髄組織中に存在する歯髄固有細胞から分化した象牙芽細胞様細胞あるいは骨芽細胞様細胞によって硬組織形成が行われることが明らかにされた。