- 著者
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吉良 悠吾
尾形 明子
上手 由香
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.1, pp.11-22, 2020-03-30 (Released:2020-05-01)
- 参考文献数
- 41
- 被引用文献数
-
7
本研究は,ソーシャルスキルの階層性を考慮し,認知や情動面のスキルも測定できる「成人用ソーシャルスキル自己評定尺度」が青年に適用可能であることを確認した上で,項目反応理論を用いて短縮版尺度を作成し,その短縮版尺度を用いて,具体的な対人場面におけるスキルである対人スキルと,それらを発揮する基となる,汎状況的な認知・情動・行動スキルであるコミュニケーション・スキルとの関連性を検討することが目的であった。多母集団因子分析によって,青年のソーシャルスキルを同様の因子構造で測定できることを確認した上で,項目反応理論を用いて35項目であった項目数が20項目となる短縮版尺度を作成した。また,階層的重回帰分析の結果,対人スキルの発揮のためには,自分の意思を相手に伝えるための行動スキルだけでなく,認知や情動面のスキルも重要であること,その関連性は対人スキルの種類によって異なることが示された。したがって,青年のソーシャルスキルを高めるためには,対人スキルの種類に合わせて,認知や情動面のスキルを含めた訓練が有効であることが示唆された。