著者
吉田 澪奈 山内 浩文 佐久本 真梨夢 吉見 昭秀
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.646-653, 2023 (Released:2023-08-04)
参考文献数
40

様々な腫瘍においてスプライシング因子をコードする遺伝子の変異が繰り返し見られ,グローバルなミススプライシングを受けた遺伝子が新規の蛋白質アイソフォームの産生やRNA分解による蛋白質喪失を通して発がんにつながる機序が近年の研究で一部明らかになってきた。ミススプライシングを受けた遺伝子の一部は,その発現の変化を通して発がんに関わるシグナル伝達や細胞内プロセスに影響を与え,また他の遺伝子発現制御機構の異常と協調的に働くことにより発がんを誘導する。スプライシング異常を有する腫瘍への治療戦略として,薬理学的なスプライシングの阻害が合成致死の機序により腫瘍の抑制に有効であることが期待されており,薬剤開発と臨床試験が進められている。本稿ではスプライシング変異の特徴,細胞内機構への影響と発がん機構,また標的治療について概説する。
著者
田岡 和城 荒井 俊也 吉見 昭秀
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

iPS細胞からCD34陽性CD38陰性CD43陽性の造血幹細胞様血球を作成、および多系統の血液細胞への分化誘導させることが可能とした。具体的なプロトコールは、iPS細胞を10T1/2細胞と共培養し、day1からday4にBMP4、day4からday9までIL3、day9からSCF、FLT3、TPO、IL3で順次サイトカインで刺激すると、造血幹細胞に認められるCD34陽性CD38陰性CD90陽性分画を認めた。誘導したCD34陽性造血前駆細胞をそれぞれ顆粒球、単球、赤芽球、巨核球への分化誘導が可能であり、多系統への分化能が保持されていることを示した。